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一次方程式と連立方程式の解法を学ぶ【電気数学のすゝめ16】
電験取得のための第一歩
2025.03.28
16限目 一次方程式と連立方程式
先生 前回は平方根の有理化と虚数について学習したね。しっかり復習したかな?
生徒 はい、ちゃんと復習しているのでカンペキです!
先生 それなら、今回のテーマである「方程式」は簡単にこなせちゃうかもね。
生徒 方程式、ですか?
先生 うん。例えば「1個50円のリンゴを4個、1個500円のパイナップルをいくつか買ったところ、合計金額が1200円になりました。パイナップルはいくつ買ったでしょうか」という問題があったら、どんな式をたてるかな?
生徒 パイナップルを買った数がわからないから、この個数を文字に置き換えて考えるしかないな。パイナップルの数をx個とすると「50×4+500×x=1200、200+500x=1200」という式をたてます。
先生 そうだね。この式のように、個数や値のわからない文字を含む等式を方程式というんだ。等式は「=(イコール)」を使って数量の関係を表した式のことで、性質を黒板にまとめておくから覚えておこう。

生徒 方程式はわかったけど、どうやって解けばいいんですか?
先生 式を「x=」の形に変形すればいいんだ。早速、等式の性質を使ってやってみよう。
生徒 「200+500x=1200」は、まず、200がジャマだから等式の性質②を使って200を消そう。両辺から200をひくと「200-200+500x=1200-200、500x=1000」となって、あとは等式④を使って500を消せば「x=」の形になるか。両辺を500でわると「500x÷500=1000÷500、x=2」となって、パイナップルが2個とわかる!
先生 正解! 計算してみて、少し手間がかかると思わなかった?
生徒 両辺でたしたり、ひいたりして式に書いていると、少し混乱してきます。
先生 そうだよね。そこで、移項という方法を使うとスマートに計算できるんだ。
生徒 どんな方法ですか?
先生 さっきの方程式を例にやってみようか。一般に、左辺に値のわからない文字(未知数)、右辺に値がわかっている数(既知数)という配置に変形するんだ。「200+500x=1200、500x=1200-200、500x=1000、x==2」というように、移項を使うとシンプルに計算できるんだよ。注意点は移項をすると符号が変わるということ。まずは、練習問題で方程式に慣れてみよう。
練習問題
次の方程式を解け。
(1)x+4=16 (2)4x=16 (3)6x+7=4 (4)
-1=2
(5)
=2 (6)
=3x+5 (7)0.05x+2.7=6 (8)0.03-10(x+0.093)=1
答
(1)x+4=16、x=16-4=12
(2)4x=16、x=
=4
(3)6x+7=4、6x=4-7=-3、x=-
=-
(4)
-1=2、
=2+1=3、a=3×3=9
(5)
=2、
×(3y+1)=2×(3y+1)、8=6y+2、6y=8-2=6、y=
=1
(6)
=3x+5、
×6=(3x+5)×6、10-x=18x+30、-x-18x=30-10、-19x=20、x=-
(7)0.05x+2.7=6、5x+270=600、5x=600-270=330、x=
=66
(8)0.03-10(x+0.093)=1、0.03-10x-0.93=1、-10x-0.9=1、-10x=1+0.9=1.9、x=-0.19

先生 うん、基礎は理解できているみたいだから、ここからは応用に入っていこう。未知数が2つの場合を考えてみるよ。
生徒 2つ、ですか?
先生 うん。未知数が2つの場合は連立方程式というんだ。2つの式が上下に並んだ形、みたことないかな?
x+y=2
x-y=10
生徒 う~ん、どうやって解くんだろう……。
先生 この連立方程式を解くには加減法と代入法を使うんだ。
生徒 名前から想像すると、加減法は2つの式をたしたり、ひいたりして解く方法で、代入法は一方の式に、もう一方の式を入れて解く方法?
先生 そう、そんな感覚だよ。まず、加減法から取り組んでみよう。
x+y=2……①
x-y=10……②
①と②をみたとき、この2つの式をたすとyが消えるのはわかるよね。
生徒 はい、消えます!
x+y=2
+)x-y=10
2x=12
あっ、両辺を2でわればxの値がわかる! 「x=6」だ。あとはyの値だけど……。
先生 「x=6」なんだから、①のxに6を代入してみればいいんだよ。
生徒 そうか! ①に代入すると「6+y=2、y=2-6=-4」です。
先生 うん、そうだね。せっかくだから、①に答を代入して、合っているか確認してみようか。
生徒 答は「x=6、y=-4」だから、②に代入して「x-y=6-(-4)=10」となって②を満たしています。
先生 答が合っているか、しっかりチェックするクセをつけておきたいね。
生徒 じゃあ、代入法で解くとなると、どうやればいいんですか?
先生 いつもより積極的だね。さっき言ったように、一方の式に、もう一方の式を代入するんだ。まず、①を「y=」の形に変形してみようか。
生徒 xを右辺に移項すると「x+y=2、y=2-x」となるから、これを②に代入するとxだけの式になります! 「x-(2-x)=10、x-2+x=10、2x=10+2=12、x=6」でxが求められました。あとは加減法と同じように一方の式に「x=6」を代入してyを求めればいいんですね。
先生 うん、そういうことだ。
生徒 式が2つあると最初はビックリするけど、解法がわかるとカンタンです!
先生 式をみて、加減法か代入法か、すぐにわかるようになるとカンペキだよ。早速だけど、この連立方程式は加減法と代入法、どっちで解く?
3x+6y=6……①
2x+5y=6……②
生徒 xとyの係数が2つの式で違うから加減法は使えないか。代入法なのかな……。でも「y=」の式に変形すると分数になって計算が複雑になりそうだな。
先生 うん、代入法にすると分数の計算になるから複雑になるよね。この場合は加減法を使うんだ。xかy、どちらかの係数を同じ値にしてみてよ。
生徒 係数を同じ値か……。①に2、②に3をかけるとxの係数が「6」になります。
①×2 6x+12y=12
②×3 6x+15y=18
先生 あとは加減法で解けるよね。ここでの注意点は必ず両辺に数をかけること。xだけにかけて係数を同じにしてもダメなんだ。
生徒 はい、注意します! 実際に解いてみます。
6x+12y=12
+)6x+15y=18
-3y=-6
y=2
①に「y=2」を代入して「3x+6×2=6、3x+12=6、3x=6-12=-6、x=-2」となるから、答は「x=-2、y=2」です。確認のために②に代入してみると「2×(-2)+5×2=(-4)+10=6」となるから、うん、合っている!
先生 ここまでこなせれば、連立方程式マスターまで、あと一歩だ。
生徒 えっ、まだあるんですか?
先生 問題によっては未知数が3つのときもあるからね。ここまでは解けるようにしておきたいよね。
2x-3y-3z=8 ……①
-x+3y+2z=-10……②
3x-6y-3z=12 ……③
生徒 未知数を1つ消しても、2つは残るから解答できない……。
先生 それじゃあ、まずは未知数を1つ消すことから始めてみようか。落ち着いて取り組めば必ず解けるよ。
生徒 う~ん。それなら、①と②で加減法を使ってyが消えます。
2x-3y-3z=8
-x+3y+2z=-10
x-z=-2……④
でも、これだとxとzが残るから答が出ませんよ。もう1つ、xとzの式が必要になります。
先生 うん。①と②でyを消したように、今度は②と③でyを消すと、どうなるかな?
生徒 そうか! ②と③の加減法でxとzの式をつくればいいんだ。
-2x+6y+4z=-20(②×2)
3x-6y-3z=12
x+z=-8……⑤
これで④と⑤の連立方程式を解けばxとzの値が求められます!
x-z=-2……④
x+z=-8……⑤
④+⑤から「2x=-10、x=-5」で、これを④に代入すると「(-5)-z=-2、-z=-2+5=3、z=-3」となって、x=-5とz=-3を②に代入して「-(-5)+3y+2×(-3)=-10、5+3y-6=-10、3y=-10-5+6=-9、y=-3」でyが求まりました! 答は「x=-5、y=-3、z=-3」です。
先生 正解だ! 未知数が3つある複雑な問題も、しっかり解答できるようになったね。それじゃあ、練習問題に取り組んで今回は終わりにしよう。
生徒 は~い、ありがとうございました!
練習問題
次の連立方程式を解け。
(1)
x=5-y
2x-3y=0
(2)
x+2y=2
9x+13y=3
(3)
15x+5y=5
3x+4y=-14
(4)
7x+3y=1
5x+2y=1
(5)
x+y=1
y+z=2
x+z=5
答
(1)
x=5-y……①
2x-3y=0……②
②を①に代入すると「2(5-y)-3y=0、10-2y-3y=0、-5y=-10、y=2」となり、これを①に代入して「x=5-2=3」と求めることができる。
答 x=3、y=2
(2)
x+2y=2……①
9x+13y=3……②
①より「x=2-2y」と求められることから、これを②に代入すると「9(2-2y)+13y=3、18-18y+13y=3、-5y=3-18=-15、y=3」となり、これを「x=2-2y」に代入して「x=2-2×3=-4」と求めることができる。
答 x=-4、y=3
(3)
15x+5y=5 ……①
3x+4y=-14……②
「②×5=15x+20y=-70……③」から、①-③でxを消す。
15x+5y=5
15x+20y=-70
-15y=75
ここから「y=-5」が得られる。これを②に代入して「3x+4×(-5)=-14、3x-20=-14、3x=-14+20=6、x=2」と求めることができる。
答 x=2、y=-5
(4)
7x+3y=1……①
5x+2y=1……②
「①×2=14x+6y=2……③、②×3=15x+6y=3……④」から、③-④でyを消す。
14x+6y=2
15x+6y=3
-x=-1
ここから「x=1」が得られる。これを②に代入して「5×1+2y=1、2y=1-5=-4、y=-2」と求めることができる。
答 x=1、y=-2
(5)
x+y=1……①
y+z=2……②
x+z=5……③
②より「y=2-z」が得られ、これを①に代入して「x+2-z=1、x-z=1-2=-1……⑤」と導くことができる。ここから③+⑤でzを消す。
x+z=5
x-z=-1
2x=4
ここから「x=2」が得られる。これを③に代入すると「2+z=5、z=5-2=3」となり、②に代入して「y+3=2、y=2-3=-1」と求めることができる。
答 x=2、y=-1、z=3
(講師/村山 慎一)
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