Column
漆黒の魔空空間に引きずり込まれないもんね!【電気教育、言いたい放題22】
電気科教員の「はてしないグチ」
2026.01.13
第22言「風見鶏、3歩で忘れて大出世!」
機械系で仲がいい先輩がいて、毎年、年賀状のやりとりをしていた。
その先生が栄転で教育委員会にいって、校長として戻ってきた。いろいろな問題を校内に抱えつつも、良識的に業務をこなしていたと推測する。
定年退職後、専門主事として委員会に入った。そのころは工業高校の統廃合のウワサがあったことも手伝ってか、しばらくすると現場の教員にとって、よろしくないことを口にしていると、しばしば耳にした。
校内で久々に顔を合わせてアイサツすると、開口一番に「工業高校がしっかりしなかったら、このワシがツブすぞ!」と言ってくる。
ウワサどおりだな。思わず「バカなこと言わないでください!」と、こちらも強い口調で切り返す。
すると、なぜかしら? ニコニコしながら両手で握手をしてくる。その反応に、こちらが面食らってしまった……。
また、あるときは「工業高校、なんとか頑張ってよ!」と手もみしながら声をかけてくる。
だから、「前に出ろ! 前に出ろ! とおっしゃられましてもね。だれか知らないけど、私の奥襟をつかんでいるから、前に出られないんですよ。だれや! って振り返ったら、同じ組織(行政)じゃないでしょうね?」と、かつての「目白の女帝」の国会答弁を利用させてもらう。
すると、今度は渋い顔をして「そんなこと言うなよ」とだけ返ってきた。
またまた、校内で顔を合わせると「なにか、成果、実績を挙げてよね」ときたもんだ。
思わず「落とし穴(統廃合)を仕かけてないでしょうね?」と言うと、またまた渋い顔をして黙り込んでしまう。言うことを聞かないヤツだなと思ったことだろう。
数年後、ついに統廃合が決まった。残念ではあるが、教育公務員の端くれとしては決定事項に従わざるを得ない。さみしい気持ちと、これからの教育活動に不安な気持ちが湧き上がった。
それでも新しい高校への準備が必要だと考えていたところ、その年の年賀状で「校長で勤務した学校がなくなるのはさみしいものです」と書いてある。
これには目を疑った。どの口が言って、だれが書いたんや! 人間不信になりそうだった。たいした、たまげた、びっくらこいた。君子豹変するから出世するんだろうな。あらためて痛感した。
さらに数年後、新聞紙上で春の褒章を授与されるとの記事があった。あの元校長が? そのように表彰される成果や実績があったのか? どう考えても思い浮かばない。
数カ月後、褒章のお祝いの宴席への招待状が届いたけど、まあ、親しいほうだったから久々に顔を出してもいいかなとも考えたが、やっぱり、やめた! 100歩譲って参加したとしても、統廃合の音頭を取った自慢話を聞かされて、「今後、このように統廃合をするから、次に頑張るのはオマエたちだぞ。若い者に頑張ってもらわなイカン!」とばかりに説教されたんじゃ、たまったもんじゃない。さらには専門主事時代に筆者とやりとりしたときの「おつり」を返されでもしたら……。そう考えると、せっかくの酒がマズくなるだけだぜ!
この一連のブラックユーモア、いいかげんにしてほしいものだ。

プロフィール
今出川 裕樹(いまでがわ・ひろき)
1960年生まれ。大学卒業後、電気科の教員として工業高校に勤務。時事問題をぶっこみながらポイントを説明するユニークな授業を展開。その軽妙なトークは、爆笑のうずを巻き起こしつつ、内容を理解できるということで生徒に絶大な支持を得ている。50歳を前に電験三種に合格し、現在、二種に向けて鋭意勉強中。
このシリーズ
電気教育、言いたい放題