Q&A
内視鏡による排水管の閉塞状況の確認【設備の相談16】
事例で解決!
2025.04.04
相談
某建物の管理会社から業務を引き継ぐときに「二重壁内の湧水槽への排水管に詰まりがあるので、十分に留意してほしい」との説明を受けました。詰まりの原因と、詰まりを解消する方法を教えてください。
回答
管理会社が抱えていたトラブル
今回は、湧水槽への排水パイプで白華現象(コンクリートに含まれるセメントの成分(石灰分など)が外部から浸透してきた地下水(湧水)に溶け出し、室内側にしみて固まったものを白華(はっか)と呼び、これが浮き上がる現象のこと)による閉塞物を除去した事例を取り上げます。
前任の管理会社より、排水トラブルに以下のような対処を行っていたとの説明を受けました。
①地下2階の高圧受変電室の外壁から湧水が室内に流れ出ている。毎日3回程度、灯油用ポンプとビニールホースで二重壁内の湧水を機械室床の排水マスに流し込み、その都度、高圧受変電室の防火扉を開閉し、ビニールホースの着脱を行っている。
②①のように人海戦術で対応しているのは、床と排水パイプ内の堆積物の「はつり」を行うと、二重壁内の防水層(図1)を損傷させるケースがあるためである。
③機械室床の排水マスにフロートつきの水中ポンプをセットするが、そのままのポンプアップでは放流先のマスから床に排水があふれてしまうので、バルブをつけて流量調整を行っている(写真1)。
④機械式駐車場のマシンピットに湧水が流入していると、専門点検業者から毎月のように指摘があったので確認したところ、揚重装置の鉄骨ベースプレートにサビがあることを発見し、早急な措置が必要になっていた。


堆積および閉塞物の除去作業と内視鏡による状況の確認
現場の状況を確認して白華による閉塞と判断し、以下の手順で配管の詰まりを除去しました。
①竣工図より、白華でふさいでしまった床の湧水排水口(写真2)を探索した。
②タガネ、電気ドリル、スネークワイヤーを用いて排水口に接続している排水管内の白華を除去(写真3)。
③内視鏡で白華が完全に除去できたことを確認(写真4)。
④機械室の排水マスも、ワイヤー洗浄機やワイヤーブラシなどを使用し、排水管内の白華を除去(写真5)。




処置後の効果と日常管理
各所の排水管内の白華を除去したあとは排水障害が改善され、定期的に行っていた排水作業は必要なくなりました(二重壁内の湧水を排水する管は機能しているものの、仮設の水中ポンプは万一のため現状のまま)。
なお、日常管理として白華を除去するためのフィルターの洗浄と交換を定期的に実施しています。
※「設備と管理」2016年3月号に掲載
(回答者/TMES設備お悩み解決委員会)
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