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自動火災報知設備の設置基準を理解する【消防設備士甲種第4類講座】第9回
これを押さえて!
2025.08.25
第9回
自動火災報知設備の設置(1)
今回は防火対象物に自動火災報知設備を設置するときに必要な設置基準関連の「警戒区域の設定」「受信機の設置」「感知器の設置」について取り上げます。
警戒区域
警戒区域は「火災の発生した区域を他の区域と区別して、識別することができる最小単位の区域」と定義されています。P型受信機では1つの地区表示装置に相当する区域です。
図1は3階建ての防火対象物に警戒区域を設定し、自動火災報知設備のP型受信機に接続した例です。地区表示装置の表示部に建物の場所が記載され、火災が発生するとランプ(地区表示装置)が点灯し、火災発生場所を確認することができます(図1では2階、警戒区域3)。

警戒区域の設定
ここでは警戒区域の詳細な設定について解説します(表1)。
●平面の警戒区域
(1)面積による制限
【原則】
床面積が600m2以下ごとに警戒区域を設定します。
【例外】
防火対象物の主要な出入り口から、その内部を見通すことができる場合にあっては、その面積を1000 m2以下とすることができます。
(2)1辺の長さによる制限
【原則】
1辺の長さが50m以下で設定します。
【例外】
光電式分離型感知器を設置する場合にあっては100m以下とすることができます。
(3)階高による制限
【原則】
防火対象物の2以上の階にわたらないように設定します。
【例外】
警戒面積の合計が500m2以下の場合、2の階にわたって設定できます。
●たて穴の警戒区域
たて穴区画(階段、エレベータ昇降路、パイプダクトなど)は階高と関係なく、次の条件で設定します。
(1)たて穴全般(階段、エレベータ昇降路、パイプダクトなど)
・水平距離で50m以下であれば、同一警戒区域とすることができます。ただし、頂部に3階層以上の差があるたて穴同士は別の警戒区域とします(図2)。
(2)階段、傾斜路
たて穴のうち、階段、傾斜路については次のことが定められています。
・高層建築物で階数が多い場合は、垂直方向45m以下で区切って設定します(図3)。
・地階の階数が2以上の場合は地上階とは別の警戒区域とします(図4)。




受信機の設置基準
(1)設置場所
受信機の設置場所は防災センター、中央管理室および守衛室などの常時人がいる場所に設置します。
(2)設置位置
受信機の設置位置は操作スイッチの高さで設置します。操作スイッチが床面から0.8m(イスに座って操作するものにあっては0.6m)以上、1.5m以下になるように設置します(図5)。

(3)設置する機種
受信機は設置する防火対象物の規模などに応じて適切なものを選定します(表2)。
①警戒区域の数に対して制限のないもの:R型、GR型、P型1級、GP型1級
②警戒区域の数が5以下のもの:P型2級、GP型2級
③警戒区域の数が1のもの:P型3級受信機、GP型3級受信機
④延べ面積が350m2以下にしか設置できないもの:P型2級(1回線)、GP型2級(1回線)
⑤延べ面積が150m2以下にしか設置できないもの:P型3級、GP型3級

(4)設置できる台数
受信機は種別、回線数により1の防火対象物に設置することができる台数が定められています(表2)。
P型1級(1回線)、GP型1級(1回線)、P型2級、GP型2級、P型3級、GP型3級は1の防火対象物に3台以上設けることはできません。
R型、GR型、P型1級(多回線)、GP型1級(多回線)には設置台数の制限はありません。
(5)2台以上設置する場合
1の防火対象物に2台以上の受信機を設置する場合は次の条件が必要です。
①受信機のある場所相互間で同時に通話できる設備(電話、インターホンなど)が必要です。
②地区音響装置は、いずれの受信機からも鳴動させることができなければなりません。
感知器の設置基準
(1)感知器の設置
①感知器は天井または壁の屋内に面する部分および天井裏の部分に有効に火災の発生を感知できるように設置します。感知器の性能に応じた取付け高さの制限、取付け高さに応じた感知面積、取付け間隔などが定められています。
②感知器は取付け面の高さに応じて定められた種別のものを設置します。
③スポット型感知器(炎感知器を除く)は45度以上傾斜させないように設置します。
④差動式分布型の検出器は5度以上傾斜させないように設置します。
⑤感知器は設置が免除される部分以外の部分で、点検、その他の維持管理ができる場所に設置します。
(2)感知器の設置の免除
感知器は出火の危険が少ない場所、有効に感知できないと考えられる場所には設置が免除されます。以下が免除される場所、条件です。
①感知器の取付け面の高さが20m以上の場所(炎感知器は除く)。
②上屋、その他の外部の気流が流通する場所で、感知器によっては火災の発生を有効に感知することができない場所(炎感知器は除く)。
③主要構造部を耐火構造とした建築物の天井裏。
④主要構造部が耐火構造でない場合の天井裏で、その天井と上階の床との間が0.5m未満の場所(設置、維持、点検が困難なため)。
⑤閉鎖型のスプリンクラーヘッドを用いたスプリンクラー設備、水噴霧設備、または泡消火設備のいずれかを設置した場合は、その有効範囲内の部分(特定防火対象物、または煙感知器を設置しなければならない部分は除く)。
⑥便所、浴室など(洗面所、脱衣所は除く)。
(3)煙感知器、炎感知器を設置しなければならない場所
煙感知器、炎感知器については設置しなければならない場所が定められています。表3で示す場所では煙感知器、熱煙複合式感知器、炎感知器を設置しなければなりません。

(4)煙感知器の設置除外
煙感知器(熱煙複合式感知器を含む)にあっては、表4で示す場所(煙感知器の特性上、誤報、故障が考えられる場所)については設置ができません。この場合には熱感知器、炎感知器で対応します。

(5)感知器の取付け高さ
感知器は、その感知方式、感度種別により取付けることができる高さ(光電式分離型感知器、差動式分布型感知器については天井高さ)が定められています(図6)。高くなるほど設置できる感知器は少なくなり、20m以上になると設置できる感知器は炎感知器のみとなります。
取付けることができる高さ面が高いものほど火災を感知する性能が高く、定温式熱感知器より差動式熱感知器、スポット型熱感知器より差動式分布型感知器、熱感知器より煙感知器が高い位置に設置することができます。

(6)感知面積と感知区域
感知器を設ける場合、感知器の種類および取付け面の高さや感知器の種類によって1つの感知器が火災を有効に感知できる面積が定められています。この面積を感知面積といいます。感知器の種類による感知面積を表5に示します。
また、感知面積以下であっても感知できる範囲は壁や梁によって遮られる場合があります(図7)。これらによって区画できる範囲を感知区域といいます。
感知区域内の感知器の設置個数は、感知区域の面積を感知器の感知面積で埋めるように設定します。なお、設置個数は「感知区域の面積÷1つの感知器の感知面積」で求めることができます。
例えば、耐火構造の天井高3m、面積150m2の感知区域に差動式スポット型感知器2種を設置する場合の感知器数は、表5より「150 m2(感知区域面積)÷70 m2(差動2種の感知面積)≒2.14」となり、端数を切り上げて3個となります。


(7)感知器の傾斜天井への設置
スポット型感知器(炎感知器を除く)を天井面に設置するときは45度以上傾斜させないように設置しなければなりません(図8)。45度以上の傾斜面に取付ける場合は座板などを用いて45度以上とならないように設置します。
差動式分布型感知器の検出部については5度以上傾斜させないように設置しなければなりません。

文/川野 泰幸
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