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ガス漏れ火災警報設備を理解する【消防設備士甲種第4類講座】第15回
これを押さえて!
2026.10.05
第15回
ガス漏れ火災警報設備
これまでの自動火災報知設備について解説してきました。今回からは、4類で扱う自動火災報知設備以外の対象設備に内容を勧めます。その最初として、第15回では「ガス漏れ火災警報設備」を取り上げます。
ガス漏れ火災警報設備
ガス漏れ火災警報設備は火災につながるガス漏れの発生を検知、警報する設備です。都市ガスなどの燃料用ガスや、温泉採取施設などで発生する可燃性ガスの漏れをガス漏れ検知器で検知し、その信号をG型受信機で受信して、管理者へガス漏れ灯と地区表示装置の点灯、主音響装置の鳴動でガス漏れの発生と発生場所を知らせます。
ガス漏れ発生時は、ガス漏れが発生した室内に検知区域警報装置で警報を鳴動するとともに、通路に面する出入り口付近に設置したガス漏れ表示灯を点灯します。在館者へは、管理者が音声警報装置によりガス漏れの発生を知らせるものです(図1)

設備の構成
ガス漏れ火災警報設備は以下の機器で構成されます。
(1)G型受信機
受信機はガス漏れ火災警報設備の中枢部分で、設備全体の動きを司ります。ガス漏れ検知器からの信号を受けて警報、表示により管理者にガス漏れ発生を知らせます。
(2)ガス漏れ検知器
ガス漏れを検知し、受信機へガス漏れ信号を送信します。
(3)検知区域警報装置
ガス漏れを検知した区域に、ガス漏れ発生を音で警報します。ガス漏れ検知器に組み込まれ、一体になったものもあります。
(4)音声警報装置
ガス漏れ発生を音声で全館へ警報します。
(5)ガス漏れ表示灯
部屋の出入り口付近に設置し、点灯によってガス漏れの発生した部屋を知らせます。
(6)中継器
主に複数のガス漏れ検知器を接続して、1つの回線として設置する場合に使用します。
G型受信機
ガス漏れ火災警報設備の受信機としてガス漏れ専用のG型受信機(図2)と、火災受信機と一体となったGP型、GR型受信機があります。
・G型受信機の機能
G型受信機の主な機能は以下のとおりです。
ガス漏れ信号を受信したとき、黄色のガス漏れ灯および主音響装置によりガス漏れの発生を、地区表示装置により当該ガス漏れの発生した警戒区域を自動的に表示できること(ただし、1回線のものは地区表示装置を省略可)。
①受信開始からガス漏れ表示までの時間は60秒以内であること。
②主音響の音圧は70dB以上であること。
③2回線からガス漏れ信号を同時に受信したとき、ガス漏れ表示をすることができること。
④ガス漏れ表示の作動を確認できる試験機能が必要(ガス漏れ表示試験)。
⑤回線ごとに導通確認できる試験機能が必要(ただし、5回線以下のもの、検知器の電源停止が受信機でわかるものは、この限りでない)。
⑥予備電源の容量は2回線を1分間作動に加え、同時に他の回線を1分間監視できる容量以上であること。
⑦ガス漏れ表示については保持する必要がないこと。

ガス漏れ検知器
ガス漏れ検知器は、ガス漏れを検知して中継器、受信機へガス漏れ信号を送信します。
(1)検知器の種類
対象となるガスの種類により、大きく「空気より軽いガス用(軽ガス用)」「空気より重いガス用(重ガス用)」「全ガス用」に分かれ、軽ガス用には天井付け型、壁付け型、重ガス用は壁付け型があります(図3)。一般的な都市ガスは空気より軽いガス、プロパンガスは空気より重いガスです。
ガス漏れを検知する方式は代表的なものとして「半導体式」「接触燃焼式」「気体熱伝導度式」があります(表1)。


(2)検知器の機能
①音響によりガス漏れの発生を警報する機能を有するものは電源灯(通電表示灯)、作動表示灯を有すること。
②警報機能(検知区域警報装置)を有するものは、その警報音の音圧は前方1m離れた場所で70dB以上であること。
③ガスの濃度が爆発下限界の1/4以上のときに確実に作動(温泉採取施設に設置するものにあっては1/10以上)し、1/200以下のときには作動しないこと。
④爆発下限界の1/4以上の濃度のガスにさらされているときは、継続して作動すること。
⑤信号を発する濃度のガスに接したとき、60秒以内に信号(警報機能を有するものは信号および警報)を発すること。
警報装置
ガス漏れ警報設備の警報装置には「音声警報装置」「検知区域警報装置」「ガス漏れ表示灯」の3種類があります。
(1)音声警報装置
音声警報装置はガス漏れの発生を在館者に知らせる放送設備です。
(2)検知区域警報装置
ガス漏れが発生した区域にガス漏れの発生を音で警報します。音圧については1m離れた位置で70dB以上と定められています。ガス漏れ検知器と一体になったものもあります。
(3)ガス漏れ表示灯
室外に設置し、表示灯の点灯によりガス漏れとなった室を知らせます。
ガス漏れ火災警報設備の設置
(1)設置対象
ガス漏れ火災警報設備は「特定防火対象物の地階(地下部分1000m2以上)」などと「温泉採取施設の部分」に設置が義務づけられています(表2)。
①特定防火対象物の地階:床面積の合計が1000m2以上
②地下街:延べ面積が1000m2以上
③準地下街:延べ面積が1000m2以上で、かつ、特定用途部分の床面積が合計500m2以上
④特定用途部分を含む複合用途防火対象物の地階:床面積が合計1000m2以上で特定用途部分の床面積が合計500m2以上
⑤特定、非特定にかかわらず、内部に温泉採取施設が設けられている防火対象物

(2)警戒区域
ガス漏れの発生した区域を他の区域と区別できる最小単位です。以下の基準で設定します。
①1つの警戒区域の面積は600m2以下とすること(ただし、通路の中央からガス漏れ表示灯を容易に見通すことができる場合は1000m2以下とすることができます)。
②2以上の階にわたらないこと(ただし、合計面積が500m2以下の場合は2まで可)。
③貫通部(ガスを供給する導管が建物の外壁を貫通する部分)に設けるガス警報器は他の警戒区域と区別して設定すること。
(3)受信機の設置
受信機は防災センターなどに設け、受信機の操作スイッチは床面からの高さ0.8m以上(イスに座って操作する場合は0.6m以上)1.5m以下の箇所に設けること。
(4)検知器の設置
ガス漏れ検知器は対象となるガスの種類により設置が異なります。
①空気より軽いガス用(軽ガス)
・燃焼器、貫通部から水平距離8m以内(図4)
・検知器の下端が天井面の下、0.3m以内(図5)
・0.6m以上の梁などがある場合は、その梁などの内側(図6)
・天井面付近に吸気口がある場合は燃焼器、貫通部に近い吸気口付近(図7)
②空気より重いガス用(重ガス、図8)
・燃焼器、貫通部から水平距離4m以内
・検知器の上端が床面から0.3m以内の壁面





(5)検知器を設置できない場所
検知器が有効に検知できない、または誤作動するおそれがある以下の場所には設置することができません。
・出入り口付近で、外部の気流が頻繁に流通する場所
・換気口の空気の吹き出し口から1.5m以内の場所
・ガス燃焼機器の廃ガスに触れやすい場所
・その他、ガス漏れの発生を有効に検知することができない場所
(6)警報装置の設置
ガス漏れ警報設備の警報装置は、それぞれ次のとおりに設置します(表3)。

①音声警報装置
・スピーカーは階ごとに、その階の各部分からスピーカーまでの水平距離が25m以下となるように設けること。ただし、常時人がいない場所、非常放送設備の有効範囲内、警報機能を有する検知器もしくは検知区域警報装置の有効範囲内の部分には、音声警報装置を設けないことができます。
・音圧および音色は、他の警報音または騒音と明らかに区別できること。
②ガス漏れ表示灯
・前方3m離れた位置から点灯していることを明確に識別できるように設置する。
・検知器を設ける室が通路に面している場合には、当該通路に面する部分の出入り口付近に設けること。
・警戒区域が1つの室からなる場合には、ガス漏れ表示灯を設けないことができる。
③検知区域警報装置
・装置から1m離れた位置で、音圧が70dB以上であること。
・常時人がいない場所、警報装置付検知器を設置する場合は省略できます。
ガス漏れ火災警報設備の機能試験
ガス漏れ火災警報設備の試験については、自動火災報知設備と同じように多くの試験が定められていますが、ここでは代表的なものについて説明します。
(1)受信機の機能試験
①ガス漏れ表示試験
ガス漏れ表示試験スイッチを操作して、回線ごとに行います。ガス漏れ灯、地区表示装置および主音響装置の作動が正常であることを確認します。
②回路導通試験(試験装置を有するものに限る)
導通試験スイッチおよび回線選択スイッチを操作して回線ごとに確認します。
③同時作動試験
任意の2回線の検知器を同時に作動状態にし、ガス漏れ表示状態が継続することを確認します。
④予備電源試験
主電源スイッチを操作し、主電源の遮断、復旧を行い、主電源と予備電源の自動切り替えを確認します。
予備電源試験スイッチを操作し、所定の電圧値であることを確認します。
⑤非常電源試験
主電源の遮断および復旧を行い、非常電源との自動切り替えを確認します。
⑥故障表示試験
中継器の外部負荷に電力を供給する回路を遮断し、故障表示灯および音響装置が作動することを確認します。
(2)検知器の作動試験
加ガス試験器(図9)により、検知器に試験ガスを加え、以下の作動を確認します。
①中継器、ガス漏れ表示灯および検知区域警報装置が正常に作動すること
②受信機のガス漏れ灯、主音響装置の作動および警戒区域の表示が適正であること

文/川野 泰幸
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