License
自動火災報知設備の「試験」を理解する【消防設備士甲種第4類講座】第13回
これを押さえて!
2026.05.01
第13回
自動火災報知設備の試験(1)
今回から自動火災報知設備で行う「試験」について解説します。自動火災報知設備を設置したときの試験、設置後の定期点検などのことで、試験関係は実技の鑑別でも出題されます。構造、機能に関連する内容なので、本連載の第4回「機器の機能、構造」を参照しながら取り組んでみてください。
自動火災報知設備の試験
防火対象物に設置する自動火災報知設備については、設置工事完了時の試験、定期的な点検(6カ月ごとの機能点検、1年ごとの総合点検)を行わなければなりません。試験には目視で確認する外観試験と、機器を動作させて確認する機能試験があります。ここでは、主な機能試験について解説します。
受信機の試験
「受信機の試験は、受信機の前面で容易に操作できるように設けること」と定められ、受信機の試験スイッチ、表示灯、電圧計など(図1)を使って確認します。
表1は設置時の試験基準のうち、機能試験部分です(点検基準でも同様の試験)。このうち出題頻度の高い「火災表示試験」「回路導通試験」「同時作動試験」「予備電源試験」について解説します。


(1)火災表示試験
受信機を模擬的に火災受信状態にして、受信機が正常に火災表示することを確認する試験です(火災表示:❶火災灯、❷地区表示灯、❾主音響装置、21地区音響装置)。また、火災表示が保持されることも確認します。
試験手順(図2)
①「⓮火災表示試験スイッチ」を試験側にします。
②「⓭回線選択スイッチ」を操作し、1回線を選択します。
③火災表示(「❶火災灯」「❷地区表示灯」の1が点灯し、「❾主音響装置」および「21地区音響装置」の鳴動)を確認します。
④「⓬復旧スイッチ」を操作します。
⑤順次「⓭回線選択スイッチ」を操作し、「手順②」「手順③」「手順④」と繰り返し全回線の火災表示試験を行います。

(2)同時作動試験
火災表示試験と同じスイッチを使用し、受信機が複数回線からの火災信号を受信したとき、正常に火災表示することを確認する試験です。
常用電源では任意の5回線(5回線未満の受信機では全回線)、予備電源時は任意の2回線の火災表示を確認します。
試験手順(図3)
①「⓮火災表示試験スイッチ」を試験側にします。
②「⓭回線選択スイッチ」で任意の5回線を、復旧させることなく順次選択します(予備電源は2回線)。
③火災表示を確認します(❶火災灯、❷地区表示灯、❾主音響装置および21地区音響装置の全部、または当該5回線に接続されている地区音響装置が鳴動することを確認)。

(3)回路導通試験
終端器が接続されている感知器配線の導通(断線していないか)を確認します。なお、「導通表示灯」がある受信機については「⓱電圧計(導通メータ兼用)」ではなく、導通表示灯の点灯で確認します。
試験手順(図4)
①「⓯導通試験スイッチ」を試験側にします。
②「⓭回線選択スイッチ」を「T」(テスト)の位置にします。
③「⓱電圧計(導通メータ兼用)」の指針が適正な範囲にあることを確認します。これで受信機の導通試験回路が正常であることが確認できます。
④「⓭回線選択スイッチ」を1回線から順に選択します。このとき「⓱電圧計(導通メータ兼用)」の指針が適正な範囲にあれば配線は正常です。回路末端に終端器が接続されていないときも「断線」を示します。すべての回線について確認します。

(4)予備電源試験
予備電源試験は、停電時に常用電源から予備電源への切り替え、復電時に予備電源からk常用電源へ復旧が自動的に行われるか、予備電源の電圧が正常であるかを確認します。
試験手順(図5)
①「⓴主電源スイッチ(盤内)」を切り、予備電源への切り替えを確認し、「⓴主電源スイッチ(盤内)」を入れ、主電源への復旧を確認します。
②「⓲予備電源試験スイッチ」を試験側に倒し、「⓱電圧計」の指針が安定するまで待って「⓱電圧計」の電圧を確認します。
③予備電源の電圧が定格電圧の85%以上110%以下であることを確認します。なお、予備電源の定格は一般に24Vであることから、20.4(85%)以上26.4(110V)以下であることを確認します。

配線の試験
配線の試験として「共通線試験」と「送り配線試験」が定められています。どちらも感知器配線の試験です。
(1)共通線試験
感知器配線が設置基準どおり共通線1本あたり7回線以内で施工されているかを確認します。
共通線試験を行うときには事前に回路導通試験を行い、すべての回路が断線していないことを確認しておく必要があります。なお、導通表示灯がある受信機については「⓱電圧計(導通メータ兼用)」ではなく、導通表示灯の点灯で確認します。
試験手順(図6)
①受信機内部の接続端子から感知器共通線の1線を外し、受信機の回路導通試験(「⓯導通試験スイッチ」操作)を行います。
②「⓭回路選択スイッチ」を切り替え、「⓱電圧計(導通メータ兼用)」を確認。指針が断線状態(適正範囲外)であることを確認します。
③「⓭回路選択スイッチ」を順次切り替え、断線状態が7回線以内であることを確認します。これにより1本の共通線あたり7回線以内であることが確認できます。
④外した線を元の接続端子へ接続し、次の共通線を外して導通試験を行います。以下、同様にすべての共通線の断線回路数を確認します。すべての共通線で断線状態を表示した警戒区域が7以下であれば正常です。

(2)送り配線試験
感知器配線が送り配線となっているか確認します。試験する回線数は規模により定められています(表2)。
試験手順(図7)
①受信機に接続された警戒区域数から表2に相当する試験回線数より試験する回路を選び、接続された個々の感知器について送り配線になっていることを確認します。
②感知器の端子の配線を1本外し、当該回路末端の発信機などを作動させます。
③受信機が火災表示しないことを確認します。
④外した配線を接続し、その回線の導通試験を行い、確実に配線が接続されていることを確認します。


練習問題
例題1 自動火災報知設備の受信機の機能試験について誤っているものはどれか。
①火災表示試験では、火災表示と火災表示の保持を確認する。
②回路導通試験では、感知器配線の導通と火災表示を確認する。
③予備電源試験では、予備電源が所定の電圧であることを確認する。
④予備電源切り替え時の同時作動試験では、任意の2回線が同時に作動することを確認する。
解説
回路導通試験で確認するのは感知器配線の導通のみです。。
したがって、②が誤りです。
答え:②
例題2 自動火災報知設備の受信機の火災表示試験において確認することができないものはどれか。
①火災灯、地区表示灯の点灯
②地区音響装置の鳴動
③発信機の自己保持機能
④複数の回路からの同時受信と火災表示
解説
複数回線からの同時受信の確認は火災表示試験ではなく、同時作動試験で行います。
したがって、解答は④になります。
答え:④
例題3 自動火災報知設備の試験について誤っているものはどれか。
①共通線試験は、共通線を接続して受信機の回路導通試験により確認する。
②共通線試験は、すべての共通線で行う必要がある。
③送り配線試験は、感知器配線が送り配線になっていることを確認する。
④送り配線試験は、すべての回線で行う必要はない。
解説
共通線試験は1本の共通線に接続される警戒区域数が7以下であることを確認する試験です。試験は共通線を外し、導通試験を行って断線が7回線以下であることを確認します。
したがって、①が誤りです。
答え:①
例題4 図はP型1級受信機の表示操作部である。火災表示試験の操作手順として正しいものはどれか。

①❺→❹→❼
②❼→❺→❹→❷
③❺→❹→❹→❹→❹→❹→❷
④❺→❹→❷
解説
①、②:❼試験復旧スイッチは感知器の加熱、加煙試験時に使うスイッチです。
③:5警戒区域の作動確認は同時作動試験です。
④:火災表示試験では1警戒区域ごとに火災表示、火災表示の保持を確認します。
したがって、④が正解です。
答え:④
例題5 自動火災報知設備の受信機において導通試験を行ったところ導通不良であった。原因として考えられないものはどれか。
①感知器配線の終端抵抗が外れていた。
②感知器の接続端子が接触不良であった。
③感知器配線が分岐配線になっていた。
④共通線が外れていた。
解説
分岐配線は導通試験では検出できません。それどころか、分岐配線では断線していても断線箇所によっては断線検出ができないおそれがあります。
したがって、③が正解です。
答え:③
例題6 自動火災報知設備の受信機の予備電源試験に使用するスイッチについて正しいものはどれか。
①予備電源試験スイッチと主電源スイッチ
②予備電源試験スイッチと復旧スイッチ
③予備電源試験スイッチと回線選択スイッチ
④予備電源試験スイッチと導通試験スイッチ
解説
予備電源試験は、停電時の常用電源から予備電源への切り替え、復電時に予備電源から常用電源へ復旧が自動的に行われるか、予備電源の電圧が正常であるかを確認します。常用電源~予備電源の切り替えは「主電源スイッチ」を使用します。
また、予備電源の電圧確認は「予備電源スイッチ」を使用します。
したがって、①が正解です。
答え:①
文/川野 泰幸
このシリーズ
消防設備士甲種第4類講座関連記事

Column

Column

Column

How to

Q&A

Special

License

License
