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自動火災報知設備の「配線」を理解する【消防設備士甲種第4類講座】第12回
これを押さえて!
2026.02.02
第12回
自動火災報知設備の設置(4)
前回まで自動火災報知設備の機器の設置基準について解説しました。今回は、その機器間を結ぶ「配線」について解説します。
感知器の配線
自動火災報知設備の設置基準は、機器はもちろん、機器間を接続する「配線」についても規定されています。
P型感知器(アドレスを持たない感知器)の感知器回路の配線(受信機、または中継器と感知器、発信機を結ぶ配線)は、断線や接続部分が外れて感知器が未監視状態になることを発見できるように、導通(配線が断線、または感知器、発信機から外れていないか)の確認が容易にできる必要があります。
そのために配線を送り配線とすること、末端に終端器、または発信機、押しボタンを設けることが定められています。
(1)導通試験
感知器配線の断線を検出できるようにするため、配線の末端部(終端)に終端器、または発信機、押しボタンを設けます(図1)。

①終端器
P型1級受信機(GP型を含む)については、導通試験装置を設けることが定められています。この導通試験装置により試験ができるように設置するのが終端器です。導通試験装置を操作し、導通を確認します。
②発信機、押しボタン
1級以外のP型受信機(GP型を含む)の感知器配線には、終端に発信機、または押しボタンを設置し、試験時は発信機、押しボタンを操作して受信機を火災表示させることで導通を確認します。
③その他(送り配線、終端器等の例外)
「配線が断線、または感知器や発信機から外れた場合に受信機が自動的に警報を発するもの」にあっては、送り配線および終端器の設置は不要です。これはR型、GR型受信機にアドレスを持った感知器を接続し、受信機側でアドレスを管理することで断線、配線の外れなどを検出、警報が行える場合を指します。
一方、R型受信機であっても、アドレスのない一般の感知器を接続する回線にあっては「送り配線」とし、「終端器」を設けるなど、導通試験ができる措置が必要です。
(2)送り配線
P型受信機の感知器配線では、導通試験で回線ごとの断線を検出できるように感知器、発信機の配線は送り配線とすることが定められています。
送り配線とは配線を分岐せず、ひと筆書きで配線する配線方式のことです(図2)。
送り配線にすることで、どこかが断線したとき、末端に設けた終端器、発信機、スイッチにより断線を検出することができます。
また、導通の異常には断線だけでなく、感知器の接続部(端子)からの電線の外れも考えられます。そのときにも導通試験で発見できるように、感知器には1つの端子に一次側、二次側の2つの接続部があります(図3)。


(3)P型感知器の共通線
P型受信機、GP型受信機は警戒区域ごとに感知器配線が一対必要ですが、1本は共通線(コモン線)として他の警戒区域の配線と共通とすることができます。共通線を設けることで配線本数を大幅に減らすことができます。
ただし、共通線に障害があったときの被害を限定的にするため、共通線は1本あたり7警戒区域(回線)までと定められています(図4)。

(4)P型感知器配線の線路抵抗
P型受信機、GP型受信機の感知器回路の線路抵抗は50Ω以下と定められています。
発信機の配線
発信機の火災信号出力は感知器配線に接続します。ただし、発信機の場合は火災出力以外にいくつかの専用配線があり、さらにP型1級発信機とP型2級発信機で異なる配線となります。P型1級発信機には電話、発信機確認灯が必要なため、配線の本数が多くなります。
(1)P型1級発信機の配線
P型1級発信機の配線は図5のようになります。表示線、共通線ともに感知器と同じ信号線で、電話線は受信機との電話連絡用、確認線は受信機からの確認灯用です。電話線、確認線の共通線は感知器の共通線を使用します。
発信機の押しボタンを押されると、表示線から火災信号を送信するとともに確認線から受信機へ確認信号を送信します。受信機は発報が発信機からであることを確認して確認信号を返し、確認灯を点灯します。この確認信号により「地区音響装置が区分鳴動の際の一斉鳴動への移行」「受信機が蓄積式の場合は蓄積解除」を行います。

(2)P型2級発信機の配線
P型2級発信機の配線は図6のようになります。表示線、共通線ともに感知器と同じ信号線です。
発信機の押しボタンが押されると火災信号を送信します。

地区音響装置の配線
地区音響装置(地区ベル)は鳴動方式として一斉鳴動方式と区分鳴動方式があります。鳴動方式により受信機から地区音響装置までの配線が異なります。
(1)一斉鳴動方式の配線
火災発生時に建物全館に一斉に鳴動する方式です。建物内のすべての地区音響装置を同じ端子に接続できます(図7)。
(2)区分鳴動方式の配線
大規模な建物での火災発生時にパニック状態を防ぐために考えられた方式で、危険な階を優先して鳴動する方式です。階ごとに制御するため、配線は階ごとに個別に行います。
配線本数を減らすために共通線を使用できます。感知器配線と異なり、「7回線ごとに1本の共通線」などの制限はありません。何階分であっても1本の共通線とすることができます(図8)。


配線の種類
(1)機器間の配線の種類
自動火災報知設備の機器間の一部の配線について耐火、耐熱対応が定められています(図9)。
①P型感知器、発信機の配線
P型感知器、発信機への配線は一般配線で対応可能です。
②固有の信号を持つ感知器、発信機の配線
アナログ感知器など、アドレスを持つ(固有の信号を有する)感知器、発信機、中継器への信号配線は耐熱配線が必要です。
③地区音響装置の配線
地区音響装置への配線は耐熱配線が必要です。
④表示灯の配線
通常の表示灯への配線は一般配線です。ただし、表示灯を屋内消火栓の表示灯と兼ねる場合は耐熱配線とする必要があります。
⑤非常電源回路の配線
受信機への非常電源の配線は耐火配線が必要です。ただし、受信機が十分な予備電源を持つ場合は非常電源との接続は不要です(一般に、自動火災報知設備では、受信機に予備電源を有していることから非常電源を接続していません)。

(2)配線種別ごとの施工
一般配線、耐熱配線、耐火配線の配線種別ごとの施工は以下のように定められています。
①一般配線
一般配線は600Vビニル絶縁電線(IV線)、または、これと同等以上の性能を有する電線を使用してケーブル工事をします。
②耐熱配線
耐熱配線は以下のいずれかの方法で施工を行います。
・600V二種ビニル絶縁電線(HIV線)、または、これと同等以上の耐熱性を有する電線を、金属管、金属ダクト等工事、またはケーブル工事(不燃性のダクトに敷設するものに限る)により敷設します(埋設は不要)。
・基準に適合する耐熱電線を使用してケーブル工事をします。
③耐火配線
耐火配線は以下のいずれかの方法で施工を行います。
・600V二種ビニル絶縁電線、または、これと同等以上の耐熱性を有する電線を、金属管などに収め、耐火構造で造った壁、床などに埋設します。
・MIケーブル、または基準に適合する耐火電線を使用してケーブル工事をします。
(3)電線の収納
自動火災報知設備の配線に使用する電線と、その他の電線とは同一の管、ダクト、線ぴ、プルボックスなどに一緒に設けられません。
ただし、60V以下の弱電流回路に使用する電線は一緒に収納することができます。
絶縁抵抗
(1)電源回路の絶縁抵抗
電源回路と大地との間、および、電源回路の配線相互間の絶縁抵抗は直流250Vの絶縁抵抗計で測った値が、電源回路の対地電圧が150V以下の場合は0.1MΩ以上、電源回路の対地電圧が150Vを超え300V以下の場合は0.2MΩ以上である必要があります。
(2)感知器回路、付属装置回路の絶縁抵抗
感知器回路、付属装置回路(電源回路を除く)と大地間、それぞれの回路の配線相互の間の絶縁抵抗は、1の警戒区域ごとに直流250Vの絶縁抵抗計で測った値が0.1MΩ以上である必要があります。

練習問題
例題1 自動火災報知設備の配線について誤っているものはどれか。
①感知器回路の配線を送り配線とした。
②P型1級受信機の感知器回路の共通線を、1本について7警戒区域以下とした。
③P型1級受信機の感知器回路の末端に導通試験のために押しボタンを設けた。
④P型受信機の感知器回路の線路抵抗を50Ω以下とした。
解説
P型1級受信機は、受信機に導通試験機能が必要です。そのために回路末端には押しボタンではなく、終端器を設置する必要があります。
したがって、③が誤りです。
答え:③
例題2 次の自動火災報知設備の配線で耐熱が必要な配線はどれか。
①常用電源とP型受信機間
②地区音響装置とP型受信機間
③発信機とP型受信機間
④感知器とP型受信機間
解説
このなかで耐熱配線が必要なものは地区音響装置です。
感知器については、アナログ感知器などの固有の信号を有する感知器については耐熱配線が必要です。今回の④の感知器は、P型受信機に接続される感知器なので固有の信号を有していない感知器です。よって、耐熱配線は必要ありません。
したがって、解答は②になります。
答え:②
例題3 自動火災報知設備の配線について誤っているものはどれか。
①非常電源の耐火配線としてMIケーブルを用いてケーブル工事とした。
②自動火災報知設備の配線と100V以下で使用する他の電線を、同一の電線管に収納した。
③表示灯について消火栓の表示灯と兼用であったので耐熱配線とした。
④地区音響装置の配線について区分鳴動方式であったので個別配線としたが、共通線については区分数にかかわらず1本とした。
解説
自動火災報知設備の配線に使用する電線とその他の電線とは、同一の管、ダクト、線ぴ、プルボックスなどに一緒に設けられません。
ただし、60V以下の弱電流回路に使用する電線は一緒に収納できます。②が100V以下となっているので、これが誤りです。
答え:②
例題4 電源回路と大地との間および電源回路の配線相互間の絶縁抵抗の最小値として正しいものはどれか。ただし、電源回路の対地電圧は150V以下、測定は直流250Vの絶縁抵抗計での値とする。
①0.1MΩ
②0.2MΩ
③0.4MΩ
④0.5MΩ
解説
電源回路の絶縁抵抗については以下のとおりです。
対地間電圧150V以下:0.1MΩ以上
対地間電圧150V超300V以下:0.2MΩ以上
したがって、①が正解です。
答え:①
文/川野 泰幸
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