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感知器、地区音響装置、発信機の「試験」を理解する【消防設備士甲種第4類講座】第14回
これを押さえて!
2026.07.31
第14回
自動火災報知設備の試験(2)
前回の「受信機の試験」に続き、感知器、地区音響装置、発信機の試験について解説します。試験関係は設備導入時の試験、設置後の定期点検の内容で、鑑別試験でも高い頻度で出題されます。試験器の名称、試験方法などは、しっかり理解しておきましょう。
感知器の試験
自動火災報知設備の感知器についても設置時の試験、定期的な点検(6カ月ごとの機器点検、1年ごとの総合点検)を行わなければなりません。
設置時の試験や定期点検で行う各種試験には、設置状況などを目視で確認する試験と、各感知器に対応した所定の試験器を用いて試験を行う作動試験があります。ここでは作動試験について解説します。
作動試験は各感知器に対応した所定の試験器を用いて行います。主な感知器には作動時間の目安が定められ(表1)、この目安を超えて作動までに時間がかかるもの、作動が確認できないものなどについては改善のための措置(交換、清掃など)が必要になります。

スポット型の熱感知器の試験
(1)加熱試験
定温式スポット型感知器、差動式スポット型感知器、補償式スポット型感知器は加熱試験器を用いて実際に熱を加え、確実に作動することを確認します(感知器作動時間の目安は表1を参照)。
定温式スポット型感知器の作動時間については公称作動温度と周囲温度との差が50℃を超えている場合、作動時間は2倍とすることができます。
試験器は加熱試験器(ハクキンカイロ方式、図1)で、白金の触媒反応を応用し、燃料としてベンジンを使用します。

スポット型の煙感知器の試験
スポット型煙感知器には定期点検時に行う加煙試験器を用いた加煙試験と、1年ごとに必要な総合点検時に行う感度試験器を用いた感度試験があります。
(1)加煙試験
加煙試験では加煙試験器を用いて確実に作動することを確認します(感知器の作動時間の目安は表1を参照)。
使用する試験器は2種類。専用の線香に着火して煙を発生させる、昔からある方式の加煙試験器(線香を使用するもの、図2)と、煙の代わりに試験用ガスを使用する加煙試験器(ガスを使用するもの、図3)があります。


(2)感度試験
煙感知器については1年に1度の総合点検時に煙感知器感度試験器(図4)を用いた感知感度の測定が必要です。実際に煙を発生させる方式と電気的に確認する方式の2種類があります。

差動式分布型感知器の試験
差動式分布型感知器には空気管式と熱電対式があり、それぞれ専用の試験器を使って試験します。
これまでのスポット型感知器と異なり、実際に加熱することが困難なため、試験器を用いて感知器が正常に機能することを確認します。
・差動式分布型感知器(空気管式)の試験
差動式分布型感知器(空気管式、図5)は「試験ポンプ」「マノメーター」「ストップウォッチ」などの試験器(図6)を使って、以下の試験を行います。
❶作動試験:感知器が正常に作動するかを確認します。
❷作動継続試験:作動した感知器が所定の時間、作動した状態を継続するかを確認します。
❸流通試験:空気管に漏れや詰まりがないかを確認します。
❹接点水高試験:ダイヤフラムの接点が閉じるのに必要な圧力(水位)を確認します。
※上記のうち、❸流通試験、❹接点水高試験については、機能点検時に❶作動試験、❷作動継続試験で不作動、または測定した時間が所定の範囲外の場合、もしくは前回の点検時の測定値と大幅に異なる場合に行います。


(1)作動試験
模擬的に試験ポンプで空気を流入することで、空気管内における火災時の空気の熱膨張を再現して試験します(図7)。
①検出部の試験孔に試験ポンプを接続します。
②試験コックを「作動試験」の位置に合わせます。
③感知器の作動空気圧に相当する空気(感知器に表示している感知器諸元表(表2)に記載)を注入します。
④検知部接点が閉じ、発報するまでの時間を測定し、感知器諸元表に記載の範囲内であるか確認します。
このとき、作動時間が感知器諸元表の規定値より遅い場合は空気管の漏れ、検出部内の接点の異常、リーク孔の異常、銅管端子(コックスタンドに接続する空気管の端子)の不良、銅管端子の上下にあるパッキンの不良などの障害が考えられ、失報(火災が発生しても警報が出ない)の原因となります。
一方、早い場合は空気管の接続長の不足、リーク孔の詰まりなどの障害によるものが考えられ、非火災報(火災でないのに警報が出る)の原因となります。


(2)作動継続試験
作動試験により、検出部が作動してから復旧するまでの時間を確認します。
作動試験で接点が閉じ、その後、接点が再び開くまでの時間を測定して感知器諸元表に記載する範囲内であることを確認します。
緩やかな温度上昇に対しては、リーク孔から空気が逃げ、接点が閉じないようになっています。この試験ではリーク孔が正常か、それ以外に漏れがないかなどを確認します。
(3)流通試験
空気管に空気を注入し、空気管の詰まり、漏れを確認します(図8)。
①検出部の試験孔に試験ポンプを接続し、試験コックを流通試験の位置に合わせ、空気管端部にマノメーターを接続します。
②テストポンプで空気を注入し、マノメーターの水位を約100mm上昇させて水位を停止させます。
③試験コックにより送気口を開き、マノメーターの水位が1/2に下がるまでの時間を測定し、その時間が空気管流通曲線(図9)の上下限の範囲内であることを確認します。
この試験で空気管に切断などの大きな漏れがあるときは、試験ポンプによる空気注入はできますが、マノメーターの水位が上がりません。
また、空気管にピンホールや接続部のハンダづけ不良などの小さな漏れがあるときは、いったんマノメーターの水位は上がりますが、安定せずに、ゆっくり下降します。


(4)接点水高試験
ダイヤフラムの接点を閉じるのに必要な圧力を確認します(図10)。
①空気管を検出部のコックスタンドから取り外し、マノメーターおよびテストポンプを接続し、試験コックを接点水高試験の位置に合わせます。
②テストポンプにより徐々に送気し、検出器が作動した時点のマノメーターの水位を測定して、感知器諸元表による値の範囲内であることを確認します。
この試験で、接点水高値(作動したときに上昇した水位)が低いときは感度が過敏であり、非火災の原因となります。接点水高値が高すぎるときは感度が低下し、失報の原因となります。

・差動式分布型感知器(熱電対式)の試験
熱電対式の差動式分布型感知器は「メーターリレー試験器」(図11)を検出部に接続し、次の試験を行います。

(1)作動試験
感知器を模擬的に作動させ、作動したときの電圧を測定します。
(2)回路合成抵抗試験
メーターリレー試験器を接続し、「熱電対部+接続電線」の抵抗値を測定します。
なお、作動試験で作動しないとき、回路合成抵抗試験で抵抗値が所定の範囲にない場合は熱電対、電線などの回路の不良、端子接続の緩みなどが考えられ、失報の原因となります。
光電式分離型感知器の試験
光電式分離型感知器は減光フィルター(図12)を用いて確認します。

(1)作動試験
光電式分離型感知器の受光部の前面に所定の減光フィルターをあてて、確実に作動することを確認します(感知器作動時間は表1を参照)。
(2)不作動試験
上記と同様の要領で所定の減光フィルターで作動しないことを確認します。
作動試験、不作動試験の所定の減光フィルターは種別と公称監視距離で決まり、機器の取扱説明書などに記載されています。
炎感知器の試験
感知器に対応する炎感知器用作動試験器(図13)を用いて確認します。
対象感知器に対応する赤外線、または紫外線を照射し、確実に作動することを確認します(感知器作動時間は表1を参照)。

発信機、地区音響装置の試験
・発信機の試験
作動試験、P型1級発信機にあっては送受話器を接続し、通話試験を行います。
①押しボタンを操作して受信機の火災表示を確認します。P型1級発信機にあっては確認灯が正常に点灯することを確認します。
②P型1級発信機にあっては送受話器を接続して受信機との間で通話を確認します。
・地区音響装置の試験
鳴動状況の確認、音圧の測定を行って確認します。
(1)鳴動状況の確認
①地区音響装置が鳴動方式(一斉鳴動か区分鳴動)に応じ、正常に鳴動することを確認します。
②区分鳴動の場合は定められた鳴動範囲に鳴動したあと、一定時間(10分以内)が経過した場合、または新たな火災信号を受信したときに、一斉鳴動することを確認します。
(2)作動試験
音響装置(取り付けられた状態)の中心から1m離れた位置で、騒音計(A特性)を用いて音圧を測定します(図14)。
ベル、サイレンなどについては音圧が90dB以上であること。音声により警報を発するものについては音圧が92dB以上であることを確認します。

練習問題
例題1 自動火災報知設備の感知器と試験の組み合わせで誤っているものは、次のうちどれか。
①光電式スポット型感知器-感度試験
②差動式スポット型感知器-加熱試験
③差動式分布型感知器-作動継続試験
④光電式分離型感知器-加煙試験
解説
光電式分離型感知器は実際に煙を入れる加煙試験ではなく、減光フィルターを用いて作動試験を行います。
したがって、④が誤りです。
答え:④
例題2 差動式分布型感知器(空気管式)の作動試験を行った結果、作動時間が感知器諸元表の規定値より遅かった。原因として考えられるものはどれか。
①空気管の接続部に緩みがある。
②接点水高が規定値より低い。
③リーク孔につまりがある。
④空気管の長さが諸元表の長さより短い。
解説
②~④は、いずれも作動時間が短くなる要因です。①は試験ポンプで空気を流入したとき、漏れにより作動時間が遅れることで失報の原因となります。
したがって、解答は①になります。
答え:①
例題3 以下は差動式分布型感知器(空気管式)の試験のときに使用するグラフである。このグラフを使用する試験はどれか。
①作動試験
②作動継続試験
③流通試験
④接点水高試験

解説
このグラフは流通試験に使用します。所定の空気を空気管に注入後、送気口を開いて排気される時間がグラフ曲線の上下限内であれば「良」と判断します。
したがって、解答は③になります。
答え:③
文/川野 泰幸
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