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反比例と円のグラフを習得する【電気数学のすゝめ21】
電験取得のための第一歩
2025.12.26
21限目
反比例、円のグラフ
先生 前回は二次関数の性質とグラフの描き方について学習したよね。
生徒 はい。グラフを描くことで二次方程式の解が2つあることを確認しました。
先生 うん、しっかりマスターしているみたいだね。それでは、今回のテーマだ。まずは反比例について学ぼう。
生徒 はい。

先生 黒板の図が反比例のグラフだよ。何か気がつくことはあるかな?
生徒 グラフが2つに分かれていますね。
先生 うん、いいところに気がついたね。反比例は「双曲線」というグラフの特別な場合なんだ。双曲線という名前のとおり、2つの曲線で描かれているね。もう1点、気がついてほしいことがあるんだけど、どうかな?
生徒 う~ん。
先生 それでは、質問ね。反比例のグラフはx軸、y軸と接触するか、しないか?
生徒 黒板の図をみる限りは接触していない……。
先生 そう、正解! よくチェックしているね。「接触しない」だ。厳密には「限りなく近づく」という表現になるんだ。数学の分野では「極限」というテーマで扱っているよ。
生徒 電気と関係あるんですか?
先生 もちろんだよ。例えば、真空中に置かれた点電荷による電位Vと点電荷からの距離rとの関係は「V=
」と表すことができるよね。電荷Qを一定として「a=
」とすると「V=
」と反比例の式になる。
生徒 あっ、ホントだ!
先生 したがって、距離rと電位Vのグラフは図1のように描けるんだ。ここで、電位Vが0となる距離rについて考えてみよう。まず、距離rがどうなれば、電位Vは小さくなるかな?

生徒 距離rが大きくなれば、電位Vは小さくなります。
先生 そうだね。それでは、電圧Vが0になる距離rの大きさは?
生徒 う~ん。距離rが大きくなればなるほど、電位Vは0に近づいて……。
先生 うまく表現できないでしょう。この問題に「極限」の考え方を用いれば「距離rが限りなく無限大に近づくとき、電位Vは0に収束する」と表現するんだ。
生徒 数学に無限大なんて使っていいんですか?
先生 もちろん。無限大を表す記号「∞」もあるからね。ちゃんと定義されているよ。
生徒 へぇ~。
先生 話を電位に戻すと、電位が0になる点は距離が無限大に離れたところであるという結論になる。この無限大に離れた点のことを「無限遠点」と呼ぶんだ。電気を学習していると、いずれ登場するから覚えておくといいよ。
生徒 無限遠点って、どこにあるんですか?
先生 う~ん。限りなく遠いところであると思っておけばいいよ。
生徒 は~い。
練習問題
(1)次の表の値は関数y=
のものである。(a)~(d)の値を求めなさい。

(2)y=
のグラフを描きなさい。
(3)y=
のグラフを描きなさい。
答
(1)y=
に、それぞれx、yの値を代入して求める。
(a)y=
にx=1を代入すると、y=
=2
(b)y=
にx=2を代入すると、y=
=1
(c)y=
にx=4を代入すると、y=
=
(d)y=
にy=
を代入すると、
=
、x=2×4=8
(2)y= のグラフは以下となる。

(3)y=- のグラフは以下となる。


先生 さて、次は円のグラフに取り組もう。黒板にあるように「x2+y2=r2」のグラフを描くと円になるんだ。
生徒 なぜ、この式が円になるんですか?
先生 いい質問だね。円というのは中心からの距離が等しい点の集まりだ(図2)。つまり、円周上の点と円の中心の距離は必ず半径rになるよね。
生徒 はい。
先生 これを数式で表してみよう。円周上の点を点P1(x1,y1)として、円の中心O(0,0)との距離OP1をx1、y1で表すと、どうなるかな?
生徒 う~ん。
先生 ヒントね。三角形OP1X1は直角三角形だから、三平方の定理が……。
生徒 あっ、x12+y12=r2です!
先生 うん、正解。もう円の方程式の形がみえているよ。この関係は円周上の点であれば、どこでも成り立つから「点P2:x22+y22=r2」「点P3:x32+y32=r2」……「点Pn:xn2+yn2=r2」となるよね。したがって、円の方程式は「x2+y2=r2」となるんだ。
生徒 なんとなくですけど、わかりました。
先生 いまは「x2+y2=r2」が円の方程式であることがわかれば十分だよ。それじゃあ、練習問題に取り組んでみようか。

練習問題
次の式は円の方程式である。これらの円の半径を求めよ。
(1)x2+y2=22
(2)x2+y2=25
(3)x2+y2=3
(4)x2+y2-5=0
答
円の方程式はx2+y2=r2であるから、それぞれの式と比較して半径rを求める。
(1)式から、半径2の円となる。
(2)「x2+y2=25、x2+y2=52」となり、半径5の円となる。
(3)「x2+y2=3、x2+y2=(√3)2」となり、半径√3の円となる。
(4)「x2+y2-5=0、x2+y2=5、x2+y2=(√5)2」となり、半径√5の円となる。

先生 さて、次は円の中心が原点O(0,0)以外の場合について取り上げてみよう。
生徒 かなり複雑になっていますね。
先生 そうか。それじゃあ、円の中心が原点O(0,0)のときの式と比べてみよう。何か気がつかない?
生徒 う~ん、そうだなぁ……。
先生 じゃあ、ヒントね。「平行移動」です。
生徒 あっ、xの代わりに(x-a)、yの代わりに(y-b)が使われています!
先生 うん、そうだね。中心は原点O(0,0)からx軸方向にaだけ、y軸方向にbだけ平行移動するから(a,b)になるんだ。
生徒 平行移動の考え方って、いろんな関数や方程式で使えるんですね。
先生 そう、その感覚を持つことが大切なんだ。このあと取り組む三角関数でも平行移動の考え方を利用するから、いまのうちにマスターしておくといいよ。最後に、円の方程式と平方完成の練習問題に取り組んで終わりにしよう。
生徒 はい、ありがとうございました!

練習問題
次の式は円の方程式である。円の中心座標と半径を求め、グラフを描きなさい。
(1)(x-2)2+(y-3)2=42
(2)(x+1)2+(y-1)2=2
(3)x2-2x+y2-8=0
(4)x2+y2+4x+2y+4=0
答
(1)中心(2,3)、半径4の円。グラフは以下となる。

(2)「(x+1)2+(y-1)2=2、(x+1)2+(y-1)2=(√2)2」となり、中心(-1,1)、半径√2の円となる。

(3)x2-2x+y2-8=0をxについて平方完成すると「x2-2x+y2-8=0、(x-1)2-1+y2-8=0、(x-1)2+y2=9=32」となり、中心(1,0)、半径3の円となる。

(4)x2+y2+4x+2y+4=0をxについて平方完成すると「(x+2)2-4+y2+2y+4=0」となり、同様にyについて平方完成すると「(x+2)2-4+y2+2y+4=0、(x+2)2-4+(y+1)2-1+4=0、(x+2)2+(y+1)2=12」となり、中心(-2,-1)、半径1の円となる。

講師/村山 慎一
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