License
二次方程式の解法を習得する【電気数学のすゝめ17】
電験取得のための第一歩
2025.04.28
17限目 二次方程式
先生 前回は一次方程式と連立方程式について学習したね。しっかり復習したかな?
生徒 はい、カンペキです!
先生 それじゃあ、次の問題はわかるかな?
2x+4y=14
x+2y=7
生徒 まず、xを消去したいから下の式に「2」をかけてxの係数をそろえます。
2x+4y=14……①
2x+4y=14……②
あれ、同じ式になっちゃった……。どうすればいいんだ?
先生 このように、連立方程式が同じ式になる場合、解は無限個あるから、この方程式は解けないんだよ。
生徒 え~っ、それはズルイ! でも、なんで無限個あるってわかるんですか?
先生 解を整数に絞って考えてみようか。条件は「x+2y=7を満たすxとy」だから、例えば、(x,y)=(1,3)(-1,4)(3,2)とかがあてはまるかな。分数とか実数、複素数を含めれば、いくらでも解はあるよね。
生徒 だから解は無限個なんだ。
先生 このような場合を不定というんだ。解が1つに定まらないからね。
生徒 ふ~ん。
先生 あまりピンときていないようだけど……。それじゃあ、次の問題をやってみてよ。
生徒 これも同じようにイジワルな問題なんじゃないですか?
先生 どうだろうね~。まあ、やってみてよ。
2x+4y=14
4x+8y=10
生徒 まずはxを消去するために上の式に「2」をかけてxの係数をそろえます。
4x+8y=28……①
4x+8y=10……②
①式-②式を計算すると…… あれ、yも消えちゃった。
先生 うん、これも解けない方程式だよ。
生徒 やっぱり!
先生 でも、さっきの問題と違うところは、この方程式は解がないということなんだ。
生徒 解がない?
先生 うん。2つの方程式を同時に満たすx、yがないということだよ。
生徒 なんで「解がない」ってわかるんですか?
先生 ①式-②式を計算すると「0=18」となって、式として成り立たないよね。こんなときは解けないんだ。方程式をグラフに描いたり、「行列」という数学を使っても説明できるよ。そして、このような場合を不能というんだ。解くことができないからね。
生徒 解けないなら、やっても意味がないんじゃないですか?
先生 そんなことないよ。方程式をたてるとき、解が不能だったら、どこかに誤りがあることがわかるよね。不定になった場合は同じ条件で式をたてているから、別の条件を使って式をたてる必要があるんだよ。
生徒 不定や不能になったら、しっかり見直しをするってことですね。
先生 そういうことだ。通常、問題は解けるようになっているはずだからさ。さて、ここで質問。連立方程式をたてるとき、いくつの式が必要になるかわかるかな?
生徒 x、yのときは2つで、x、y、zのときは3つだったから、文字の数だけ必要だと思います。
先生 そう、正解だ。わからない値(x、y、zなどの未知数)の数だけ式をたてる必要があるんだよ。電気回路の問題で連立方程式を使うけど、求めたい未知数をできるだけ簡単に求められるように、連立方程式をたてることがポイントになるんだ。
生徒 は~い。

先生 それでは、ここから今回のテーマである「二次方程式」について学習しよう。二次方程式の一般式は「ax2+bx+c=0(ただし、a≠0)」で表しているよ。
生徒 うわっ、難しそう……。
先生 大丈夫。簡単な二次方程式なら、すでに取り組んでいるんだよ。「平方根」は覚えているよね。4の平方根は?
生徒 ±2です!
先生 うん、正解。実は、これも二次方程式なんだよ。x2=4という二次方程式を解いたことになるんだ。式で表すと「x=±2」だ。
生徒 一般式は難しそうだけど、ずいぶん簡単に感じますね。
先生 一般式に「a=1」「b=0」「c=-4」を代入すると「x2-4=0、x2=4」になるでしょう。だから、二次方程式なんだよ。
生徒 なるほど!
先生 まずは練習問題で確認してみよう。
練習問題
次の二次方程式を解け。
(1)x2=9 (2)x2=25 (3)x2=3 (4)x2=10
答
(1)x=±3
(2)x=±5
(3)x=±√3
(4)x=±√10
先生 できたかな?
生徒 はい! 余裕ですよ。
先生 うん、それでは次の段階にいこう。「x2+5x+6=0」は解けるかな?
生徒 うわっ、いきなり難易度が上がった!
先生 この問題も前に取り組んだことがある知識で解けるよ。
生徒 う~ん、ヒントください!
先生 それじゃあ、左辺を因数分解してみてよ。
生徒 因数分解……!? そうなると「x2+5x+6=(x+2)(x+3)」です。
先生 うん、正解だ。もう、ほとんど解けたも同然だよ。
生徒 えっ、どうすればいいの?
先生 因数分解して「(x+2)(x+3)=0」という式に変形できたよね。右辺は「0」だ。かけ算で0になるということは、どちらかの数が0ということ。つまり「(x+2)=0」か「(x+3)=0」となる。これを解くと?
生徒 「x+2=0」の場合は「x=-2」で、「x+3=0」の場合は「x=-3」です。因数分解して、かけ算の形に変換すれば解けるんだ!
先生 うん、そういうこと。よし、すぐに練習問題で確認しよう。
練習問題
次の二次方程式を解け。
(1)x2+3x+2=0 (2)x2+4x+4=0
(3)x2=4 (4)2x2+20x+48=0
答
(1)x2+3x+2=0、(x+1)(x+2)=0、x+1=0またはx+2=0、x=-1、-2
(2)x2+4x+4=0、(x+2)2=0、x+2=0、x=-2
(3)x2=4、x2-4=0、(x+2)(x-2)=0、x+2=0またはx-2=0、x=-2、2
(4)2x2+20x+48=0、2(x2+10x+24)=0、x2+10x+24=0(両辺を2でわる)、(x+4)(x+6)=0、x+4=0またはx+6=0、x=-4、-6
先生 どう、できたかな?
生徒 (2)は少し不安でした。x=-2だけでいいのかなって。
先生 うん、鋭いね。実は、二次方程式の解は必ず2つあるんだ。
生徒 でも、(2)は1つだけですよね。
先生 この場合、x=-2またはx=-2というように解が2つあると考えるんだ。この状態を重解といって、まさしく、解が重なっているという意味ね。それでも値が同じだから表記は1つしかないんだよ。
生徒 そうなんですね。
先生 ちなみに、三次方程式には解が3つ、四次方程式には解が4つ、n次方程式には解がn個ある。これを「代数の基本定理」というんだ。
生徒 (3)は式を変形すると、解がプラスとマイナスの2つあることがわかります。この式をみたら、これまでは「±○」って答えるんだって暗記していました。
先生 これで「平方根は?」という問題に、プラスとマイナスの2つの解がある意味がわかったでしょう。
生徒 はい!

先生 さて、次にいこうか。「x2+10x+2=0」は、どう考えるかな?
生徒 因数分解もできないし、どうすればいいんだ……。
先生 この問題は「平方完成」というテクニックが必要になるんだ。
生徒 平方完成って?
先生 (x+a)2を強引につくる方法なんだ。この問題では「x2+10x」の部分に着目してみよう。x2+10xから(x+a)2をつくるには、どうすればいいかな?
生徒 う~ん。
先生 ヒントね。x2+10x+25だったら?
生徒 x2+10x+25=(x+5)2です…… あっ、(x+a)2の形ができた!
先生 でも、実際はx2+10xだ。さて、どうする?
生徒 両辺から25をひきます。「x2+10x+25-25=(x+5)2-25、x2+10x=(x+5)2-25」になります。
先生 正解! これが平方完成だ。そこで、問題の方程式をみてみよう。「x2+10x+2」だから、どうする?
生徒 「x2+10x+2=(x+5)2-25+2=(x+5)2-23=0、(x+5)2=23」です。
先生 よし、もうひと息だ。x2=aの二次方程式の解はx=±√aだよね。ここで(x+5)2=23の(x+5)をAと置いたら、x2=aの形にならないかな?
生徒 (x+5)2=23で(x+5)=Aと置くとA 2=23、つまり、A=±√23ということですか?
先生 うん。ただし、求めるのはxだから、Aをxが入った形に変換しよう。
生徒 x+5=Aだから「A=±√23、x+5=±√23、x=-5±√23」です!
先生 正解、よくできました!
生徒 一応はできたけど、平方完成のコツは、まだつかめていません……。
先生 それじゃあ、平方完成の例を挙げてみようか。アンダーラインの値に注目すると、ある規則に気づくと思うよ。「①x2+10x=(x+5)2-52、②x2+6x=(x+3)2-32、③x2+8x=(x+4)2-42、④x2+5x=(x+
)2-(
)2、⑤x2+x=(x+
)2-(
)2」だけど、どうかな?
生徒 あっ、xの係数を2でわった値で平方完成しています!
先生 うん。じゃあ、x2+axを(x+○)2の形にすると、どうなる?
生徒 (x+
)2です。
先生 OK! それじゃあ、x2+axと(x+
)2を等しくするには、どうすればいい?
生徒 (x+
)2=x2+ax+(
)2だから、両辺から(
)2をひけば等しくなります!
先生 そう、正解だ。練習問題で確認しておこう。
練習問題
次の二次方程式を解け。
(1)x2+3x+1=0 (2)x2+6x-4=0
(3)x2+8x+4=0 (4)2x2+8x-3=0
答
(1)x2+3x+1=0
(x+
)2-(
)2+1=0、(x+
)2=(
)2-1=
-1=
(x+
)=±
、x=±
-
=
(2)x2+6x-4=0
(x+3)2-32-4=0、(x+3)2=9+4=13、(x+3)=±√13
x=±√13-3=-3±√13
(3)x2+8x+4=0
(x+4)2-42+4=0、(x+4)2=42-4=16-4=12
(x+4)=±√12、x=±√12-4=-4±2√3
(4)2x2+8x-3=0
2(x2+4x-
)=0、x2+4x-
=0、(x+2)2-22-
=0、(x+2)2=
+4=
(x+2)=±
、x=±
-2=±
-2=
先生 さあ、できたかな?
生徒 (4)は少し悩みました。
先生 この問題は「x2の係数でくくる」がポイントだね。それじゃあ、仕上げに「解の公式」に取り組もう。
生徒 まだあるのか……。
先生 これが最後だから、集中していこう!
生徒 は~い。

先生 実は、この公式があれば、すべての二次方程式は解けるんだ。だから、しっかり暗記しておこう。
生徒 何だか大変そう。
先生 何度も書いていけば、イヤでも覚えるよ。さあ、ラストスパートだ! 練習問題に取り組んで終わりにしよう。
生徒 は~い、ありがとうございました~。
練習問題
次の二次方程式を解け。
(1)2x2+4x-1=0 (2)x2+2x+8=0
答
(1)二次方程式の係数はa=2、b=4、c=-1だから、これを解の公式に代入して求める。
x=
=
(2)二次方程式の係数はa=1、b=2、c=8だから、これを解の公式に代入して求める。
x=
=
=-1±j√7
講師/村山 慎一
関連記事

License

Column

Special

License

License

License

How to

How to