Column
キャリアアップ・ナビゲーターが展開する「It’s Show Time!」【電気の花道1】
資格・de・ダダダ
2025.06.25
Episode 1「岐阜県立岐阜工業高等学校」
「花の命は短くて」で始まる詩と同様に、3年間の高校生活はあっという間に終わってしまう。その限られた時間で輝くために、だれもが何かに夢中になっている。部活もそう、友だちとのアフタースクールもそう、バイトもそう、もちろん、恋愛だって……。多感な10代後半、みんな、青春を謳歌している。
しかし、この高校3年間は助走であって、決してピークではない。さらに輝きを放つ瞬間が、未来には星の数ほど存在しているのだ。
20代、30代と歳を重ねても輝き続けるためには、では、どうすればいいか?
それは、スクールライフに「資格」というエッセンスを追加すること。3年間を「ピークに向かうための準備期間」と考えるだけでいい。
この連載は、長年にわたって名古屋工学院専門学校で教鞭を執ってきた筆者が2018年7月から行っている「キャリア教育支援」で感じた喜怒哀楽を、そこはかとなく書き連ねた青春の応援歌である。
今回から講演した学校での様子を具体的にレポートしていく。初回の舞台は岐阜県立岐阜工業高等学校。さて、早速、キャリアの種をまいていくことにしよう……。
岐阜県立岐阜工業高等学校は2022年に飛び込みでアプローチした学校で、電気工学科の岩佐昌尚先生に「やりましょう!」という心強い言葉をいただきました。
これをキッカケに、名古屋工学院専門学校と岐阜県高等学校教育研究会 工業部会 電気・通信系が教育連携を結ぶ関係になりました。
岐阜工業高校では電気・電子工学科群として生徒を募集しています。定員は70名で、1年間の共通項目のあと、電気工学科と電子工学科に分かれます。当初は圧倒的に電子を選択する生徒が多く、電気工学科の責任者である岩佐先生がバランスよく選択するような仕組みを模索していたところでした。
そのような事情を知らないなか、2022年6月に同校で初めて「キャリア教育支援」を展開しました。結果として、2年生からの専門科目で、ちょうど半数が電気工学科を選択。ものすごく喜んでいただきました。
同校は意識の高い生徒が集まり、非常にアグレッシブです。入学したばかりの6月、最近まで中学生だった生徒たちですが、私の「資格と職種」の講演も最後まで熱心に耳を傾けていました。プログラムは基本的に対話形式で、多くの生徒に質問をします。それに対しても、しっかり自分の考えを答えている姿が印象に残っています。
実は「キャリア教育支援」には裏メニューがあります。機材の運搬の関係で近隣の学校のみを対象としている「電気のオモシロ実験」です。
電気工学科の生徒といっても、必ずしも電気が好きだとは限りません。保護者の意見や就職に有利だといった理由で選んだ生徒いるようで、そのような生徒に対して、電気の魅力を伝える体験型の実験です。
岐阜工業高校の場合は1年生の5月に講話、年明けの2月にオモシロ実験を行っています。実験の担当者に聞いても「岐阜工業はやりやすい!」という答えが返ってきます。
学校には、さまざまな個性を持った生徒がいます。もちろん、個人としての個性は残りますが、全体としては学校独自のカラーが出るようです。これは本校にも該当すると思います。この「やりやすく感じる雰囲気」こそが、岐阜工業高校の教育体制ではないでしょうか。
また、今年度からは岩佐先生の要望で、「キャリア教育支援」を受けた生徒が3年生の5月に本校の授業に参加するという交換留学のようなシステムを採用しています。内容は受電設備の年次点検に関連するリレー試験。資格を取るだけではなく、取得後の業務を生徒が体験し、少しでも電気技術者としての未来像を感じるための内容です。これも非常に好評で、今後、近隣の学校に広がる予感があります。
岐阜工業高校に限ったことではありませんが、中学生や保護者には知っていただきたいことがあります。いまから40年ほど前、ドラマの影響で「工業高校はヤンチャな生徒が多い」というイメージがつくられ、いまだに引きずっています。
ハッキリと断言します。そんなことはありません! むしろ就職を強く意識しているので礼儀作法には気を使い、マナーのいい生徒ばかりです。そのため、校内ですれ違う生徒からは「こんにちは!」と元気よく声をかけていただけます。普通科の高校では少ないですね。だから、その昔、メディアの影響でガチガチに固められてしまったイメージも払拭していきたいと考えています。





プロフィール
石原 昭(いしはら・あきら)
1965年生まれ。1990年4月から名古屋工学院専門学校に勤務。夜間部電気工学科のクラス担任を経て、1993年4月から昼間部電気工学科のクラス担任を務める。管理職となる2015年まで22年、ひたすら電験三種の指導を行い、クラス担任として預かった約300名の学生を電験三種に合格させる。現在はテクノロジー学部の運営とともに工業高校生に対して「キャリア教育支援」を展開している。「電験合格請負人」「電験教育の伝道師」の異名で東海地区の電気業界で活躍中。