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キャリアアップ・ナビゲーターが展開する「It’s Show Time!」【電気の花道11】
資格・de・ダダダ
2025.11.26
Episode 11「愛知県立一宮起工科高等学校」
「花の命は短くて」で始まる詩と同様に、3年間の高校生活はあっという間に終わってしまう。その限られた時間で輝くために、だれもが何かに夢中になっている。部活もそう、友だちとのアフタースクールもそう、バイトもそう、もちろん、恋愛だって……。多感な10代後半、みんな、青春を謳歌している。
しかし、この高校3年間は助走であって、決してピークではない。さらに輝きを放つ瞬間が、未来には星の数ほど存在しているのだ。
20代、30代と歳を重ねても輝き続けるためには、では、どうすればいいか?
それは、スクールライフに「資格」というエッセンスを追加すること。3年間を「ピークに向かうための準備期間」と考えるだけでいい。
この連載は、長年にわたって名古屋工学院専門学校で教鞭を執ってきた筆者が2018年7月から行っている「キャリア教育支援」で感じた喜怒哀楽を、そこはかとなく書き連ねた青春の応援歌である。
今回の舞台は愛知県立一宮起工科高等学校。さて、早速、キャリアの種をまいていくことにしよう……。
今回は愛知県立一宮起工科高等学校を紹介します。
この学校の名前を聞いて、何か思い浮かべることはありますか? すぐに「ある人物」が浮かんだらツウです(笑)。
この夏、大いに盛り上がった世界陸上。短距離のスーパースターであるノア・ライルズが男子200mで優勝し、金メダルを手に「かめはめ波」のポーズを決めていました。
そう、『ドラゴンボール』の作者である鳥山明先生の母校なんです! 初めて一宮起工科高校に訪問したとき、至るところに鳥山明先生にまつわる展示があるんだろうなって楽しみにしていたんですが、実際には正面玄関にイラストがあるだけで、少し意外でした。
さて、今回の「キャリア教育支援」は電子工学科の2年生が対象です。通常、私の講演と企業講演の組み合わせが定番で、企業は弱電ではなく、強電分野の企業になります。
そこで、学科長の堀先生と相談して、私の「資格と職業」と、本校の小林が担当する「電気のオモシロ実験」という組み合わせで挑みました。
このオモシロ実験はひょんなことから生まれた企画で、数年前に伊勢工業高校で「キャリア教育支援」を行ったとき、それを見学した機械科の先生からのリクエストがキッカケとなったのです。
『ウチの生徒にもやってもらえないですかね?』
「いいですけど、電気の話しかできないですよ」
『電気と機械は密接に結びついているんですけど、機械科の教員では電気の魅力を伝えることができないんです。先生たちの力で、彼らの電気嫌いを払拭してもらいたいんです』
「う~ん。それじゃあ、話だけだと電気が苦手な生徒は飽きてしまうと思うので、体験型の実験をやりましょう!」
これが「電気のオモシロ実験」へと発展したのです。
いざトライしてみると、意外なことに見学した電気科の先生にも大好評。
『これ、ウチの生徒にもやってもらえませんか?』
「電気科の生徒にも、ですか?」
『電気科の生徒のなかには電気のことが好きじゃない生徒もいるんですよ。この実験をみたら、少しは考え方が変わるかもしれません』
電気が好きだから電気科を選んだという生徒ばかりではありません。苦手だけど電気科に所属している生徒もいます。このような生徒に対して、少しでも電気が好きになるキッカケになればと思い、リクエストがあれば「電気のオモシロ実験」をラインアップに入れるようになりました。
今回の一宮起工科高校では、弱電を学んでいる生徒に強電分野の内容ばかりでは難しいということで選択しました。結果として大成功だと思っています。
担当の小林は本校で電気工学科の科長を務めていますが、おそらく本校で一番の芸達者です。みなさんを楽しませることにかけては天下一品です!
「キャリア教育支援」の本来の目的は電気の専門職の魅力を伝えることにより、資格取得の意識向上と専門職への入職を高めることにあります。ただ、その前段階として「電気を好きになる」ことが必要不可欠です。このようなプログラムは電気に興味を持つキッカケになると思っています。
実は、現在進行形の動きもあります。まだカタチになっていませんが、もしかすると「キャリア教育支援」は今後も変化していくかもしれません。動きがあったら、お知らせします。ぜひ、楽しみにしてください。
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プロフィール
石原 昭(いしはら・あきら)
1965年生まれ。1990年4月から名古屋工学院専門学校に勤務。夜間部電気工学科のクラス担任を経て、1993年4月から昼間部電気工学科のクラス担任を務める。管理職となる2015年まで22年、ひたすら電験三種の指導を行い、クラス担任として預かった約300名の学生を電験三種に合格させる。現在はテクノロジー学部の運営とともに工業高校生に対して「キャリア教育支援」を展開している。「電験合格請負人」「電験教育の伝道師」の異名で東海地区の電気業界で活躍中。
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