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キャリアアップ・ナビゲーターが展開する「It’s Show Time!」【電気の花道2】
資格・de・ダダダ
2025.07.09
Episode 2「大阪府立都島工業高等学校」
「花の命は短くて」で始まる詩と同様に、3年間の高校生活はあっという間に終わってしまう。その限られた時間で輝くために、だれもが何かに夢中になっている。部活もそう、友だちとのアフタースクールもそう、バイトもそう、もちろん、恋愛だって……。多感な10代後半、みんな、青春を謳歌している。
しかし、この高校3年間は助走であって、決してピークではない。さらに輝きを放つ瞬間が、未来には星の数ほど存在しているのだ。
20代、30代と歳を重ねても輝き続けるためには、では、どうすればいいか?
それは、スクールライフに「資格」というエッセンスを追加すること。3年間を「ピークに向かうための準備期間」と考えるだけでいい。
この連載は、長年にわたって名古屋工学院専門学校で教鞭を執ってきた筆者が2018年7月から行っている「キャリア教育支援」で感じた喜怒哀楽を、そこはかとなく書き連ねた青春の応援歌である。
今回の舞台は大阪府立都島工業高等学校。さて、早速、キャリアの種をまいていくことにしよう……。
今回は関西の雄・大阪府立都島工業高等学校です。毎年、電験三種の合格者を輩出し、2022年には常勝軍団の三重県立松阪工業高等学校より合格者数を上回り、日本一になった学校です。
通常、「キャリア教育支援」は私と企業担当者による講演の二本柱で構成されています。ごくまれに50分×3コマの講演依頼がありますが、これには「生徒の集中力が続かないので2コマにしましょう」と提案しているのだが……。さすがに関西の雄! 3コマでも全集中でした。
学科長の磯村先生から「せっかくの機会なので、電気関係のすべての業務がわかるようにしたい」とのリクエストがあり、以下の3部作を提案しました。
①名古屋工学院専門学校「資格と職業」
②関西電気保安協会パート
③きんでんパート
この構成なら、保守管理、施工および施工管理の業務内容が理解できます。進路を意識し始める2年生はもちろん、客観的にみても「関西電気保安協会」と「きんでん」の現場実務の双璧が一堂に会するということで、極めて貴重な経験になるはず。盆と正月がいっぺんにやってきたようです。
当初、電気電子工学科の2年生、電力システムコースの34名を対象に「キャリア教育支援」を実施する予定でしたが、担任の先生からのリクエストで、電子情報コースの生徒も参戦! 私としては、1人でも多くの生徒に伝えたいという思いがあり、ありがたいリクエストでした。
この仕事を通じて思うのは「人は訓練によって多くのものを手に入れることができる」ということです。基本的に私はシャイで口下手なんですが、生徒の前で話をするときは、まったく緊張しなくなります。たとえ何百人の生徒がいても緊張することはありません。
まさに訓練の成果です。このことは、いつも生徒たちに伝えています。
さて、都島工業高校での「キャリア教育支援」は約70人の生徒を対象に行いましたが、そのなかで、笑顔がステキな生徒がいました。愛甲冬芽くんです。「キャリア教育支援」について、彼のアンケートの回答を紹介します。
・印象に残っていることは
ゼネコン、サブコン、施工業者の平均年収がピラミッドで表されていて、平均年収の違いが印象に残りました。
・電気関係資格(電験三種)取得に対するモチベーションに変化はあったか
話を聞くまでは電験は取らなくてもいいと思っていたが、話を聞いたあとは取ってみようかなとモチベーションが上がりました。
・電気の業界に関するイメージは、話を聞いてどう変わったか
電気の業界は力仕事というイメージがあったが、幅広い業種があると気づきました。
・講師の石原先生の印象は
話の内容に引き込まれました。長時間の講話は眠たくなることがありますが、今回は眠たくなりませんでした。
・今後の自分の進路について、ヒントになったか
資格取得は第二種電気工事士だけでいいと思っていたが、二種に続き一種も取得するといいと言われ、資格取得を頑張ろうと思えるようになりました。電験三種も自分の進路について視野に入れるようになりました。
・目標とする業種は定まったか
まだはっきりとはしていませんが、施工管理に興味がわきました。
私は、ほんの少し生徒の背中を押しているだけです。愛甲くんのようにモチベーションの上がった生徒の気持ちを継続させるのは、その学校にいる先生方になります。都島工業高校には資格取得に熱心な磯村先生がいます。生徒たちが、1年後、どのような成果を残すか、大いに期待したいと思います。
「キャリア教育支援」を行うことで、多くの先生から「国家資格の合格率が上がった」「生徒が勉強するようになった」「専門職を目指す生徒が増えた」という言葉をいただきます。これが私のモチベーションを爆上げします。相乗効果で、この先も突き進んでいきたいです。




プロフィール
石原 昭(いしはら・あきら)
1965年生まれ。1990年4月から名古屋工学院専門学校に勤務。夜間部電気工学科のクラス担任を経て、1993年4月から昼間部電気工学科のクラス担任を務める。管理職となる2015年まで22年、ひたすら電験三種の指導を行い、クラス担任として預かった約300名の学生を電験三種に合格させる。現在はテクノロジー学部の運営とともに工業高校生に対して「キャリア教育支援」を展開している。「電験合格請負人」「電験教育の伝道師」の異名で東海地区の電気業界で活躍中。
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