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キャリアアップ・ナビゲーターが展開する「It’s Show Time!」【電気の花道3】
資格・de・ダダダ
2025.07.23
Episode 3「長野県佐久平総合技術高等学校」
「花の命は短くて」で始まる詩と同様に、3年間の高校生活はあっという間に終わってしまう。その限られた時間で輝くために、だれもが何かに夢中になっている。部活もそう、友だちとのアフタースクールもそう、バイトもそう、もちろん、恋愛だって……。多感な10代後半、みんな、青春を謳歌している。
しかし、この高校3年間は助走であって、決してピークではない。さらに輝きを放つ瞬間が、未来には星の数ほど存在しているのだ。
20代、30代と歳を重ねても輝き続けるためには、では、どうすればいいか?
それは、スクールライフに「資格」というエッセンスを追加すること。3年間を「ピークに向かうための準備期間」と考えるだけでいい。
この連載は、長年にわたって名古屋工学院専門学校で教鞭を執ってきた筆者が2018年7月から行っている「キャリア教育支援」で感じた喜怒哀楽を、そこはかとなく書き連ねた青春の応援歌である。
今回の舞台は長野県佐久平総合技術高等学校。さて、早速、キャリアの種をまいていくことにしよう……。
今回は長野県佐久平総合技術高等学校です。本校と長野県工業教育研究会電気科研究協議会は教育連携を結んでいますが、その懸け橋となった藤木先生が佐久平総合技術高校に在籍しています。
長野県の電気系学科のある高校は学校の枠を取り払い、電験学習会を行っています。簡単に言うと「電験三種に興味がある生徒は、みんなで勉強しようぜ!」というもの。
「ブラボー!」とスタンディングオベーションしたくなる企画です。九州や大阪でやっていると耳にしたことがありますが、それ以外では大々的に聞いたことはありません。
しかし、長野県では電験学習会を10年も前から続けているようです。過去に「新電気」でも電験学習会のレポート記事が掲載されていました(2016年12月号)。この会の発起人が藤木先生なのです。
実は、この記事を読んで「この先生に会ってみたい」と思い、訪問したのです。意見交換をするなかで「それだったら、先生、手伝ってもらえませんか?」「いいですよ!」ということで縁が生まれ、毎年、電験学習会に講師として参加する関係となりました。
電験学習会では「生徒の意欲を向上させてください」というリクエストで「キャリア教育支援」の内容を話したところ、「これ、いいね! それぞれの学校でもやってもらおうよ」ということで、長野県で一気に広がったのです。
そんな深い縁を感じる藤木先生から、昨年、新たなミッションが届きました。
「先生の「キャリア教育支援」を、生徒だけじゃなくて、保護者にも聴いてほしいんだよね。PTA総会のときに講演してもらえないかな?」
狙いは「おかあさんネットワーク」を活用し、中学生の子どもを持つ母親に工業高校のすばらしさをPRするというものです。もちろん「いいですよ」と即答です。
その2度目の「キャリア教育支援」が今回です。
今年度は保護者の出席が多く、会場は満席に近い状態。参加者のなかには中学生の姿もあって少し驚きましたが、いつもの流れでスタートしました。
佐久平総合技術高校ではレギュラー回(50分)より少し長めの時間設定となっています。そのため生徒とコミュニケーションをとる時間が多く、さらに今回は保護者との交流もあり、私としては貴重な経験となりました。
「キャリア教育支援」のあとは、どのような感想を持ったのか質問する機会があり、生徒を代表して号令係を務めていた遠藤大翔くんとの意見交換が実現しました。
電気を選んだ理由は自宅でもオール電化が進んでいて、今後、電気はなくならないと思ったからで、最終的な進路については、そこまで深く考えていたわけではありません。
入学当初は「友だちと楽しく学ぶことができたらいいな」と思っていたけど、多くの資格を取ること、特に電験三種はチェレンジしたいと思いました。
今回は自分の知らないことを知るキッカケになり、有意義な時間をすごすことができました。
これ、15歳のコメントですよ。私が15歳のときには、このような発言はできなかったと思います。スゴいね……。
「キャリア教育支援」がキッカケとなり、現在、本校の電気工学科に3名の卒業生が在籍しています。もちろん、電験を取得するために入学してきました。3名とも2年生で、1名は電験三種に合格しています。残り2名も今年の8月で完全合格を目指しています。
佐久市は、位置的には東京のほうが近いけど、電験の合格率の高さから本校を選んでくれた生徒たちです。彼らは、必ず合格できると思っています。もちろん、電験三種の取得だけでなく、就職までサポートしていきますよ。
全国の「電験を取りたい!」「人生を変えたい!」と思っている生徒のみなさん、ぜひ、本校のトビラを叩いてください!



プロフィール
石原 昭(いしはら・あきら)
1965年生まれ。1990年4月から名古屋工学院専門学校に勤務。夜間部電気工学科のクラス担任を経て、1993年4月から昼間部電気工学科のクラス担任を務める。管理職となる2015年まで22年、ひたすら電験三種の指導を行い、クラス担任として預かった約300名の学生を電験三種に合格させる。現在はテクノロジー学部の運営とともに工業高校生に対して「キャリア教育支援」を展開している。「電験合格請負人」「電験教育の伝道師」の異名で東海地区の電気業界で活躍中。
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