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Step.18 不合格のループから抜け出すべし!【電験三種~不動の法則~】
合格を導く20のステップ
2025.01.31
あしたの「主任技術者」のために
電験三種の受験者は、初めて挑戦する「ビギナー」から、何度も対峙している「エキスパート」まで、そのレベルは多岐にわたっている。だが、試験自体は小学生のときから経験し、複数の科目について、枚挙にいとまがないほど対策に取り組んできたはず。そのため、独自の方法で受験のコツが身についていると推測できる。
しかし、国家資格となると話は別。範囲が広く、出題パターンも独特なため、その試験にマッチした対策が要求される。
そこで「合格を導く20のステップ」だ。栄冠をつかむために、どのように取り組むべきか。そのメソッドを紹介していく。
あしたのために、さあ、いまこそ立ち上がろう!
Step.18 不合格のループから抜け出すべし!
(1)受験回数の実態
電気技術者試験センターの「令和4年度電気技術者試験受験者実態調査」によると、令和4年度の受験者の半数近くが複数回(2回以上)の受験経験があるとの集計がある。現実問題として、不合格のループから脱出できないで悩んでいる受験者も多いという。
(2)不合格ループからの脱出術
①公式の導出力の醸成
電験三種に登場する公式は、その実、導くことができるものが多い。本当に暗記しておくべき公式と、導くことができる公式(副公式)を分類し、まずは、何度も手を動かして副公式を導くことができるようにする。これを繰り返すことで、副公式まで自然と暗記することができるだろう(図1)。

②論説はキーワードに着目
論説問題の対策では、テキストに長々と書かれている文章のなかから「これだ!」と思うキーワードをマーキングする。そのうえでマークしたキーワードを接続し、自分で説明するトレーニングを行うと効果的である。
例えば「太陽光発電」の場合は「シリコン、pn接合、光起電力効果、変換効率は20%以下、パワーコンディショナ、メガソーラー、系統連系、電圧過昇気味」といったキーワードが挙げられるだろう。
③電力と法規の科目合格者の脱出術
短時間の学習で暗記の多い科目を合格できたため、残りの2科目も学習時間を必要としないと高をくくっては痛い目に遭う。理論と機械は、そう簡単には合格できない。受験スケジュールを長めに設定し、じっくりと取り組みたい。
④継続学習のクセをつける
学習のリスタートは試験直後から、日々の習慣として継続して学習する姿勢を身につけるようにする。「受験の申し込みをしないとスイッチが入らない」と言っているようでは不合格のループへ一直線。空き時間も活用して、学習のクセをつけるように心がけたい。
⑤独学が苦手な受験者や文系出身者の解決策
学習方法がつかめず、独学が苦手な受験者はセミナーやオンラインスクールなどに参加するのも手だ。平面的にテキストで学習して重要度が判断できないでいるより、参加することで目からウロコの効果も期待できる。特に、文系出身者の場合、単位やギリシャ文字の判読ができないケースもある。最近ではウェブサイトで多様な情報が得られるが、受験を意識するためには、同じ目的を持った受験者が集うセミナーなどの活用が望ましい。
⑥問題の応用が利かない受験者の打開策
まずは、A問題を徹底的に解く。B問題は変化球が多く、いきなり取り組んだら太刀打ちできないため、基礎力の強化を図りたい。特に、回路計算ではキルヒホッフの法則、重ね合わせの理、テブナンの定理、ミルマンの定理を確実にマスターし、問題に応じて最短の適用方法を導くことができるまで取り組むことが肝心である。
⑦効率のいい過去問題の取捨選択
過去問題のなかには、とてつもなく長文で解読に時間がかかる問題や、すさまじく難易度が高い問題、これまで登場したことがないレアな問題など、さまざまなタイプの問題が含まれている。このような特殊な問題はスルーし、取り組みやすく、基本に忠実なタイプの問題を確実に学習するように心がけたい。
⑧時間内に解けない受験者の解決策
計算問題が多い理論と機械の場合、90分の試験時間内で全問題に解答することは至難のワザ。特に、理論は受験者のなかで10%もいないと思われる。この要因は、数学がキッチリと理解できていないことや、計算に時間がかかってしまうことが挙げられる。
ウイークポイントを解消するには、どうすればいいか……。これには、とにかく、トレーニングしかない。電験三種に必要な数学を復習し、過去問題に取り組んだときは解答までの所要時間を記入。問題演習の回数を重ねるごとに短縮度をチェックしていく。この作業を繰り返すことで「時間」を意識し、体感的にマスターしていきたい。また、図解で視覚的に理解することも効果的だ。
⑨出題傾向に沿った学習
試験問題には出題頻度の多い、少ないがある。過去10年間で3回も出題されているような問題は「大物」、2回は「中物」、1回は「小物」として選別作業をしてみると、大まかな頻度は把握できるはず。ここから「大物」「中物」に絞って繰り返し取り組み、自家薬籠中の問題となるまで徹底的にマスターしてほしい(図2)。

プロフィール
不動弘幸(ふどう・ひろゆき)
技術士事務所を経営する傍ら、資格試験の講師として全国各地を駆けめぐる合格案内人。電気分野を中心に、さまざまな資格に精通し、独自に確立した合格メソッドは多くの受験者から絶大な支持を得ている。オーム社が主催する「電験三種突破研究会」では約40年にわたって電力の講師を務め、合格者の輩出に全身全霊を傾けた。通称「ミスター電験」。
(撮影協力/一般財団法人 関東電気保安協会)
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