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火力発電の×と〇を解き明かす【シン・Dr.フドー研究所】Vol.6
電験三種の論説問題にズームイン
2025.01.21
Vol.6
火力発電②
電験の学習が、どのように現場実務に結びつくかを研究する「Dr.フドー研究所」。設立から3年、電験三種の問題を徹底的に分析し、現場実務と照合した結果、論説の「正誤問題」と「空白問題」に攻略の糸口をみつけることができた。電験三種を制し、主任技術者を志す受験者に狂喜乱舞のテーマを究明する。それが「シン・Dr.フドー研究所」だ。
正誤問題の「×の理由」とは? そして、空白問題に潜む「〇の理由」とは?
正解の理由に迫ることで知識を確実にストックし、現場実務とのリンクを盤石にすることができる。さあ、いますぐ研究所のドアをノックしようじゃないか!
火力発電所の設備(1)
問題 汽力発電所のボイラに関する記述として、誤っているのは次のうちどれか。
(1)自然循環ボイラは、蒸発管と降水管中の水の比重差によってボイラ水を循環させる。
(2)強制循環ボイラは、ボイラ水を循環ポンプで強制的に循環させるため、自然循環ボイラに比べて各部の熱負荷を均一にでき、急速起動に適する。
(3)強制循環ボイラは、自然循環ボイラに比べてボイラ高さは低くすることができるが、ボイラチューブの径は大きくなる。
(4)貫流ボイラは、ドラムや大形管などが不要で、かつ、小口径の水管となるので、ボイラ重量を軽くできる。
(5)貫流ボイラは、亜臨界圧から超臨界圧まで適用されている。
2005(平成17)年度「電力」問3
×の理由
圧力水が臨界圧力(22.1MPa)に近づくと、水と蒸気の比重差が小さくなるため、水が循環しにくくなる。そのためボイラ高さが高くなるが、強制循環ポンプを降水管に設けることでボイラの高さを低くすることができる。その反面、同一流量では流速が大きくなるのでボイラチューブの径は小さくなる。
上記より、誤っている選択肢は(3)と判断できる。
答(3)

火力発電所の設備(2)
問題 火力発電所のボイラ設備の説明として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1)ドラムとは、水分と飽和水蒸気を分離するほか、蒸発管への送水などをする装置である。
(2)過熱器とは、ドラムなどで発生した飽和蒸気を乾燥した蒸気にするものである。
(3)再熱器とは、熱効率の向上のため、一度高圧タービンで仕事をした蒸気をボイラに戻して加熱するためのものである。
(4)節炭器とは、ボイラで発生した蒸気を利用して、ボイラ給水を加熱し、熱回収することによって、ボイラ全体の効率を高めるためのものである。
(5)空気予熱器とは、火炉に吹き込む燃焼用空気を、煙道を通る燃焼ガスによって加熱し、ボイラ効率を高めるための熱交換器である。
2011(平成23)年度「電力」問2
×の理由
節炭器は煙突に至るまでの煙道ガスの余熱を利用してボイラ給水を加熱し、熱回収するものである。煙道には前段に節炭器、後段に空気予熱器が配置され、排熱を徹底的に回収している。
上記より、誤っている選択肢は(4)と判断できる。
答(4)
火力発電所の設備(3)
問題 汽力発電におけるボイラ設備に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1)ボイラを水の循環方式によって分けると、自然循環ボイラ、強制循環ボイラ、貫流ボイラがある。
(2)蒸気ドラム内には汽水分離器が設置されており、蒸発管から送られてくる飽和蒸気と水を分離する。
(3)空気予熱器は、煙道ガスの余熱を燃焼用空気に回収することによって、ボイラ効率を高めるための熱交換器である。
(4)節炭器は、煙道ガスの余熱を利用してボイラ給水を加熱することによって、ボイラ効率を高めるためのものである。
(5)再熱器は、高圧タービンで仕事をした蒸気をボイラに戻して再加熱し、再び高圧タービンで仕事をさせるためのもので、熱効率の向上とタービン翼の腐食防止のために用いられている。
2021(令和3)年度「電力」問3
×の理由
汽力発電所の熱効率向上対策として、再熱サイクルや再生サイクルが使用される。そのために導入されている設備が再熱器だが、再熱器は高圧タービンからの蒸気を再加熱し、低圧タービンで仕事をさせる。
したがって、誤っている選択肢は(5)と判断できる。
答(5)


火力発電所の設備(4)
問題 汽力発電所のボイラ及び付属設備に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1)蒸気ドラムは、内部に蒸気部と水部をもち、気水分離器によって蒸発管からの気水を分離させるものであり、自然循環ボイラ、強制循環ボイラに用いられるが貫流ボイラでは必要としない。
(2)節炭器は、煙道ガスの余熱を利用してボイラ給水を飽和温度以上に加熱することによって、ボイラ効率を高める熱交換器である。
(3)空気予熱器は、煙道ガスの排熱を燃焼用空気に回収し、ボイラ効率を高める熱交換器である。
(4)通風装置は、燃焼に必要な空気をボイラに供給するとともに発生した燃焼ガスをボイラから排出するものである。通風方式には、煙突だけによる自然通風と、送風機を用いた強制通風とがある。
(5)安全弁は、ボイラの使用圧力を制限する装置としてドラム、過熱器、再熱器などに設置され、蒸気圧力が所定の値を超えたときに弁体が開く。
2016(平成28)年度「電力」問3
×の理由
節炭器は煙道ガスの余熱を利用してボイラ給水を飽和温度よりやや低めに加熱することでボイラ効率を高める。「飽和温度よりやや低めの加熱」とするのは節炭器内での蒸発を回避するためである。
上記より、誤っている選択肢は(2)と判断できる。
答(2)
火力発電所の設備(5)
問題 次の文章は、火力発電所に関する記述である。記述中の空白箇所(ア)~(エ)にあてはまる語句の組み合わせとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1)(ア)給水 (イ)再熱器 (ウ)燃焼用 (エ)過熱器
(2)(ア)蒸気 (イ)節炭器 (ウ)加熱用 (エ)過熱器
(3)(ア)給水 (イ)節炭器 (ウ)加熱用 (エ)過熱器
(4)(ア)蒸気 (イ)再熱器 (ウ)燃焼用 (エ)空気予熱器
(5)(ア)給水 (イ)節炭器 (ウ)燃焼用 (エ)空気予熱器