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キャリアアップ・ナビゲーターが展開する「It’s Show Time!」【電気の花道13】
資格・de・ダダダ
2025.12.17
Episode 13「岐阜県立多治見工業高等学校」
「花の命は短くて」で始まる詩と同様に、3年間の高校生活はあっという間に終わってしまう。その限られた時間で輝くために、だれもが何かに夢中になっている。部活もそう、友だちとのアフタースクールもそう、バイトもそう、もちろん、恋愛だって……。多感な10代後半、みんな、青春を謳歌している。
しかし、この高校3年間は助走であって、決してピークではない。さらに輝きを放つ瞬間が、未来には星の数ほど存在しているのだ。
20代、30代と歳を重ねても輝き続けるためには、では、どうすればいいか?
それは、スクールライフに「資格」というエッセンスを追加すること。3年間を「ピークに向かうための準備期間」と考えるだけでいい。
この連載は、長年にわたって名古屋工学院専門学校で教鞭を執ってきた筆者が2018年7月から行っている「キャリア教育支援」で感じた喜怒哀楽を、そこはかとなく書き連ねた青春の応援歌である。
今回の舞台は岐阜県立多治見工業高等学校。さて、早速、キャリアの種をまいていくことにしよう……。
今回は岐阜県立多治見工業高等学校です。同校では初めての「キャリア教育支援」になります。いままでは縁がなく、岐阜県で唯一の実施できていなかった学校でしたが、今回で岐阜県はコンプリートになります!
多治見市といえば、2007年に熊谷市とともに40.9℃を観測し、それまでの国内最高気温を更新した都市になります。ちなみに、現在の国内最高気温は伊勢崎市が今夏に記録した41.8℃です。
私が子どものころは、30℃を超えたら暑い日という認識だったと思います。それでも小学生のころは、夏休みは朝から夕方まで野球をやっていました。いま、同じことをすると確実に倒れてしまいますね。
もうひとつ、多治見市は陶器の町として有名です。美濃焼といえば、ご存じの人も多いのではないでしょうか。そのため、多治見工業高校は岐阜県陶磁器講習会として開設した歴史があります。現在はセラミック工学科と形を変えていますが、脈々と伝統は受け継がれています。
肝心の「キャリア教育支援」ですが、始める前に生徒たちと少し話をする機会がありました。このとき、よくする質問があります。
「クラスの人気者って、だれかな?」
すると、集まった生徒たちは『河内くん!』と、いっせいに指をさしました。河内くん、気づいていません。クラスに人気者がいると、講演が大いに盛り上がります。今回、この作戦がイケそうです。
「キャリア教育支援」では、電気の職業を説明するスライドがあります。営業、施工、施工管理、保守管理など、いろいろな職種を紹介し、そのあとに「まずは、自分が、どの職種に向いているのか想像してください。それが進路選択の一歩になります」という言葉で締めくくります。
今回、人気者がいるとわかったので、河内くんに質問しました。
「河内くんだったら、どこにいきたい?」
『アメリカ!』
大きな声で返ってきた答えに、会場は大いに盛り上がり、場が和みました。
きょとんとする河内くんに、こう伝えました。
「アナタの個性だから、気にせずに伸ばしてください」
すると、また大きな声で返してくれました。
『はい!』
多治見工業高校は、河内くんをはじめ、素直で元気のいい生徒が多く、非常にやりやすい環境でした。講演後の休憩時間に生徒たちと話す機会があり、ここでも興味深い生徒と出会いました。
「将来、どんな職業に就きたい?」
『中部電力に入りたい!』
電気工学科では定番の会話です。でも、ある生徒から、こんな回答がありました。
『山岳救助隊に入りたい!』
意外な答えに、にわかに興味が湧きました。
「どうして?」
『人の役に立ちたいからです』
「じゃあ、消防士だね」
『はい!』
私としては、せっかく電気を学んでいるから電気技術者になってほしいという思いがありますが、このような道を選ぶ生徒がいてもいいと思っています。ましてや16歳で人の役に立ちたいと思っているとは……。素晴らしいことではないでしょうか!
工業高校全体にいえることですが、非常に礼儀正しい生徒が多いです。特に、多治見工業高校は学科長の梨ヶ瀬先生がきめ細かい指導をされ、1年生の2学期でしっかり身についていました。
この生徒たちは「キャリア教育支援」の1週間後に本校の見学会が組まれています。そこでは主任技術者の実務についての実習を行います。電験三種に挑戦する生徒が1人でも多く出ることを期待しています。
「キャリア教育支援」の終了後、梨ヶ瀬先生に「多治見の名物って、なんですか?」と聞きました。恒例のグルメ探訪です。しかし、返ってきたのは『暑いことかな』とのことでした(笑)。
食べものは『かりんとう饅頭が絶品です』ということで、早速、アタックしてみましたが、場所がわからずに断念しました。
ところが、歩いていると趣のある店を発見しました。なかなか「いちげんさん」で入るにはハードルの高い店構えでしたが、暖簾にある「手打」の言葉に惹かれました。
メニューは「ころうどん」「うどん」「中華そば」の3品のみ。シブイ! 私は「ころうどん」を注文しましたが、これが美味! いっさい具が入っていないうどんで、あまりコシの強くない「伊勢うどん」に近い食感でした。
一生懸命に講演をすると、ご褒美があるんですね。知らない町で、知らない店に会う。これも「キャリア教育支援」の醍醐味です。
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プロフィール
石原 昭(いしはら・あきら)
1965年生まれ。1990年4月から名古屋工学院専門学校に勤務。夜間部電気工学科のクラス担任を経て、1993年4月から昼間部電気工学科のクラス担任を務める。管理職となる2015年まで22年、ひたすら電験三種の指導を行い、クラス担任として預かった約300名の学生を電験三種に合格させる。現在はテクノロジー学部の運営とともに工業高校生に対して「キャリア教育支援」を展開している。「電験合格請負人」「電験教育の伝道師」の異名で東海地区の電気業界で活躍中。
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