Q&A
天井のカビ発生防止策【設備の相談23】
事例で解決!
2026.01.20
相談
梅雨の季節になると、天井にカビが発生するようになります。その際、防カビ塗料などを塗って対応していますが、カビが生えるのを防ぐには、どうしたらいいでしょうか。
回答
事例の概要
あるスーパーマーケットで天井にカビが発生して表面が黒く変色し、衛生面で問題になっていました。特に食料品を販売している場所では印象が悪く、対応できないかと相談を受けました。
現地を確認したところ、カビが発生している天井は冷蔵ショーケースが設置されているエリアの上部でした。ショーケースはオープンタイプと呼ばれるもので、5~6段の棚に商品が置かれ、前面上部から冷気が吹き出し、下部から冷気を吸い込むエアカーテン効果によって商品の温度を一定に維持している構造です。
室内環境の測定
最初に、店舗全体の温湿度の状況を確認しました。店舗内に入ったときは冷房が効いているという感じはしなかったのですが、ショーケースが設置されているエリアに入ると寒く感じるほど室温が低くなっていました。
次に、室内温度を計測しました。入り口付近や一般売り場では23~25℃でしたが、オープンショーケース前の通路の温度は19.5℃、ショーケース上部の天井ボード表面温度は19.9℃でした。天井ボードを触ってみると非常に冷たく、低い室内温度によって常に冷やされていることがわかりました(図1)。

結露の原因
この食品、飲料品の売り場の横にはバックヤードへの出入り口であるスイング式ドアがあり、スタッフの出入りに伴って外部の暖かく、湿った空気が吹き込んでいました。この空気が露点温度以下の天井面に触れて結露を生じ、カビが生えたものと推測できました。
一般に、オープンショーケースは冷風を上部の吹き出し口から下部の吸い込み口に向けて吹き出し、エアカーテンを形成してケース内の温度(5~10℃)の維持と効率的な冷却を行っています。
ただし、商品の陳列量が多いときや、利用者が商品を動かしたときに下部の吸い込み口がふさがれ、吹き出し冷風が外に漏れる場合があります。また、冷風が通路空気と触れているため、どうしてもオープンショーケースは前面空間を強力に冷やすことになってしまいます。さらに、オープンショーケース前の天井の高さが低く、通路空間が狭いと、より温度が低下しやすい状況になります。
これらの影響から天井面まで低温度になり、天井ボードの温度が周囲空気の露点温度以下になったときに結露が生じ、カビが発生するものと推測しました(図2)。

結露とカビの防止策
カビの発生防止策として、天井ボードを低温度にする、下から上がってくる冷気を遮断する方法を検討しました。
家電機器メーカーの小型のサーキュレーションファンがありますが、これを利用して一般売り場の温度の高い空気をオープンショーケース設置エリアの上部に向けて吹きつけることで冷気を遮断して天井ボードの温度低下を防ぎ、同時に空気を撹拌することで通路の不快なコールドドラフトの軽減も期待できます(図3)。
カビの発生原因もわかり、少額の設備投資でトラブルが解消できるメドが立ったため、毎年、発生していた防カビ塗装などの対策費の軽減も図ることができます。
空気中に浮遊しているカビ菌は建材などの表面に付着し、適度な温度、水分、栄養源の供給の下で成長していきます。
部材の温度をカビが嫌う温度にすることは難しいですが、部材の湿度をカビの生育を抑制する状態にすることはできます。つまり、部材表面の結露を防げばいいので、部材を覆う空気を冷却しない、高湿度空気を表面に滞留させない、低湿度空気を送風して乾燥させるなどが有効になります。

※「設備と管理」2016年10月号に掲載
(回答者/TMES設備お悩み解決委員会)
このシリーズ
解決!設備の相談← 前の記事
空調機フィンの腐食事例【設備の相談22】
次の記事 →
なし
関連記事

Column

Q&A

Q&A

Q&A

Q&A

Q&A

Special

Q&A