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電気の未来を育てる求道者たちの「It’s Show Time!」【工業高校GT「 」列伝03~電気の花道 第2章~】
工業教育・de・ダダダ
2026.10.09
Episode 03「神戸雄太×岐阜県立可児工業高等学校」
時は高度経済成長期。綿々と続く好景気により「工業」は活性化し、それを支えるであろう未来の技術者たちは、専門的なスキルの習得を求めて工業高校の門を叩いた。しかし……。
時は令和。いま、工業高校があぶない。1960年代中盤をピークに、生徒数は右肩下がりを続けている。そして、電気分野があぶない。科として独立できないほど募集定員に満たない状態が頻出している。
危険水域に入っているといっても過言ではないが、この状況に傍観しないで、工業復権のために率先して全力投球、瞳に炎を宿している熱き求道者も存在している。
この連載は、長年にわたって名古屋工学院専門学校で教鞭を執ってきた筆者のライフワーク「キャリア教育支援」で邂逅した、さまざまな手段で工業教育を先導するキーマンに宛てたチャントである。
電気の花道 第2章、今回は岐阜県立可児工業高等学校のGT「K」、グレート・ティーチャー・カンベこと、神戸雄太先生の列伝を取り上げる。早速、物語のページを開いてみようか……。
「全力の失敗」こそ、神戸が輝く原動力
全力の失敗には価値がある。
この言葉は、生徒たちに伝えたい思いであると同時に、私自身の人生を支えてきた考え方でもあります。
もともと私は人と話すことが得意ではありませんでした。人前で話すことも、自分の考えを伝えることにも苦手意識がありました。そのため、中学で進路を考えたときには、人と関わる仕事よりも技術を生かせる仕事に魅力を感じていました。
そんな私が航空機整備士を目指したキッカケは、ある先生との出会いでした。空が好きだった私に、航空機に携わる仕事の魅力や可能性を教えていただいたのです。その言葉に背中を押され、工業高校へ進学後、航空機整備士の道へ進みました。
整備士として働くなか、再び人生の転機がやってきました。高校時代の先生から「母校で実習助手をやってみないか? キミの経験なら、おもしろい話ができると思う」と声をかけていただいたのです。
教育の仕事に興味はありましたが、人と話すことが苦手な私にとって、それは簡単な決断ではありませんでした。それでも、尊敬する先生からいただいた言葉を信じ、新しい世界に飛び込むことを決めました。
実習助手として働き始めたときは失敗の連続でした。生徒への説明がうまくできないこともあれば、自分の思いが伝わらずに悩むこともありました。
しかし、そのたびに周りの先生たちに支えられ、失敗から学びながら少しずつ成長を感じることができました。
やがて「もっと教育について学びたい」と考えるようになり、実習助手として働きながら大学へ通い、教員免許を取得しました。
現在は学科主任として、生徒たちの成長に携わる仕事をしています。人と話すことが苦手だった自分が、生徒や保護者の前で話し、学科運営に携わる立場になっていることを思うと、不思議な気持ちになります。
振り返ると、私の人生の節目には、いつも「先生」の存在がありました。進路を示してくださった先生、新しい世界へ挑戦する勇気をくださった先生、そして、教員として成長するなかで支えてくださった多くの先生。「先生」との出会いがなければ、いまの私はなかったと思っています。
だから、私にとって「先生」という仕事は特別です。知識や技術を教えてくれるだけではなく、1人の生徒の未来を変えるチカラを持っているからです。
私は生徒たちにも失敗をおそれずに挑戦してほしいと思っています。挑戦すれば、失敗することもあります。しかし、全力で取り組んだ失敗は、決してムダにはなりません。その経験は必ず自分のチカラとなり、次の挑戦への糧となります。
人生は、どこで、どんな出会いが待っているかわかりません。だからこそ、自分の可能性を信じて1歩を踏み出してほしい。そして、かつて「先生」が私にしてくださったように、私も生徒たちの可能性を信じて、その背中を押せる「先生」でありたいと思っています(文/神戸雄太)。

GT「K」が率いる電気工学科が快挙を達成。
今回の「キャリア教育支援」は岐阜県立可児工業高校での開催ですが、対象はピカピカの1年生! まだ編成されて2カ月弱なのに、すごく雰囲気のいいクラスに仕上がっています。間違いなく先生たちの指導の成果でしょう。工業高校の教育で、本当に感心することの1つです。
この可児工業高校の電気工学科を率いる若きリーダー・神戸先生は、クラスの士気を高めるだけでなく、工業高校界において快挙の達成を導きました。1年生の電験三種合格者を輩出したのです!
このニュースは岐阜工業高校の岩佐先生からもたらされました。
岩佐:石原先生、可児工業の件、知っていますか?
石原:何かありました?
岩佐:電気工学科の1年生が電験三種に合格したんですよ!
石原:おお~っ!
岩佐:先生の「キャリア教育支援」を聴いてヤル気になったみたいです。
2021年に大分県立日田林工高等学校の1年生が電験三種に合格しました。このニュースを聞いたときは衝撃を受け、「キャリア教育支援」でも常に取り上げています。
それが、それが、私の講演がキッカケとなって、同じく1年生で合格者が出るとは……。感慨深いものがあります。
さらに、嬉しいことは続きます。講演当日、可児工業高校の受付で意外なことがありました。
石原:名古屋工学院専門学校の石原と申します。電気工学科の神戸先生とお約束しています。
事務:この用紙に記入してください。
ここまでは通常の流れです。
事務:名古屋工学院…… 石原……!! お世話になっております! どうぞ!!
記入しないで学校内に入ることができました。ちょっとした有名人の気分です(笑)。一生懸命に取り組むと、必ずいいことがありますね。
プロフィール
石原 昭(いしはら・あきら)
1965年生まれ。1990年4月から名古屋工学院専門学校に勤務。夜間部電気工学科のクラス担任を経て、1993年4月から昼間部電気工学科のクラス担任を務める。管理職となる2015年まで22年、ひたすら電験三種の指導を行い、クラス担任として預かった約300名の学生を電験三種に合格させる。現在はテクノロジー学部の運営とともに工業高校生に対して「キャリア教育支援」を展開している。「電験合格請負人」「電験教育の伝道師」の異名で東海地区の電気業界で活躍中。
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