Q&A
冬期の凍結防止策【設備の相談27】
事例で解決!
2026.08.21
相談
厳冬期になると機器や配管の凍結事故が心配になります。一般的な凍結防止策を教えてください。
回答
適材適所な凍結対策を実践
機器や配管の凍結防止策を講じる場合、その地域の平均気温、観測記録上の最低気温などを確認する必要があります。
凍結防止の基本的な考え方(水系設備)を以下にまとめます(図1)。
・周囲環境の温度を0℃以上に維持するように、建物の断熱仕様も含めた建築的対策を行う。
・配管や機器類に収容している水の温度が0℃以下にならないように設備的対策を行う。
・設備の凍結防止法として加熱法、流動法、保温法、不凍液法、水抜き法などがあり、建物条件、気象条件、設備条件、設備運用状況などを考慮して、最も適した方法を選択する。
・保温法や水抜き法以外は、制御システムの故障による凍結のおそれがあるため、重要な設備の凍結対策は冗長設計とする。

建物用途別の凍結防止策
オフィスビル
特に小規模オフィスビルは非空調空間や外気に隣接する場所が多くなり、システム熱容量も小さいので、凍結防止策を十分に行う必要があります。
・空調停止後に建物が著しく負圧にならないようにする(外気の侵入を防ぐ)。
・空調機械室を外気チャンバ方式にしない。
・外気が流入するエリア(駐車場、玄関など)や外壁に面した非空調室(倉庫など)には、なるべく水配管を通さない。
テナントビル
店舗内は室温が高く、運転時間も長く、年末年始の休業時間も短いため、凍結のリスクは比較的低いと考えられます。しかし、大量の外気処理を行うために多数の外調機を設置している場合があり、コイルの凍結事故に注意が必要です。
工場
外気導入量が多いので、外調機の凍結防止策や空調機での外気混合方法を十分に検討する必要があります。また、重要ラインの機器、配管は冗長性を考慮した凍結対策を講じます。
部位別の凍結防止策
冷却水配管
屋外にさらされて冬期に使用しない配管は水抜きが可能な構造とします。配管直管部は1/250以上の勾配をつけ、水抜きを完全に行います。
冷温水配管
冬期に使用し、夜間や数日間の運転を休止する配管のうち、屋外や非暖房室内の配管は保温、発熱線ヒーター+保温、水の循環で凍結防止を行います。
給水管
冬期に使用しない配管で屋外や非暖房室内の配管は1/250以上の勾配をつけ、水抜きを完全に行います。冬期も使用する場合は保温や発熱線ヒーター+保温で凍結を防止します。
外調機、空調機
外調機と空調機の凍結防止策を以下にまとめます。
・ファンの運転状態にかかわらず、コイルが0℃以下の空気にさらされる危険性がある場合は、外気温度に応じてコイルチューブ内の流速を凍結限界以上とする(図2)。
・コイルの流速分布が一様となるようにコイルの仕様を検討する(リバースレタン型コイルの採用)。
・蒸気コイルを使用する場合は凝縮水が滞留しないコイルの仕様を検討する(縦型コイルの採用)。
・起動時は送風前に温熱源の予熱運転を行い、コイル内の温水温度を確立する。
・外気と還気を十分にミキシングさせ、コイル部で低温空気の偏流を防止する措置を講じる(図3)。
・凍結防止指令を発令、解除する外気温度センサは室内の熱気や排気、日射などの影響を受けない場所に設置する。
・外気ダクトMD(モータダンパ)は経年により固着して動かなくなることがあるので、凍結シーズンを迎える前に点検を実施する


凍結対策の重要性
凍結事故は、対策を講じているにもかかわらず、不十分な凍結防止作業や制御系の不具合で発生するケースがあり、十分に注意する必要があります。
また、それほど低気温でないときでも暖房負荷が少なくなって温水流量が絞られたために流速が低下し、凍結を起こしたという事例もあります。
※「設備と管理」2017年2月号に掲載
(回答者/TMES設備お悩み解決委員会)
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