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電験取得のための計算の基礎【電気数学のすゝめ8】
電験取得のための第一歩
2024.04.16
8限目 比~基礎編①~
生徒 先生、読んでいる本のなかでわからないことがあるんですけど、質問してもいいですか?
先生 おっ、勉強熱心だね。感心感心。どんな質問かな?
生徒 登場人物のセリフで、親分と子分が発掘した金塊の取り分で交渉していることはわかるんですけど、「7:3」と「6:4」という言葉が出てきて……。具体的に「何kgの金塊がほしい」って言っているんでしょうか?
先生 なるほど。それは「比」だね。よし、今回は「金塊の取り分」を例に比の計算について触れていこう。

生徒 新しいテーマですね。「金塊の取り分」と関係してくるんですか?
先生 比というのは、2つ以上の数の関係、つまり、どちらが大きいのか、もしくは小さいのかを表しているんだ。親分の「7:3」は全体を10と考えたときに7と3の割合になるように分けるということなんだ。この場合、金塊は全部で10kgだから、7と3の配分にするためには、何kgと何kgに分けられると思う?
生徒 これはカンタン! 7kgと3kgです。そうすると、子分の場合は「親分の取り分は6kg、自分の取り分は4kg」にしてほしいと言っていたんですね。
先生 うん、そういうことだ。
生徒 でもね、さっき、先生は「全体を10にしたとき」と言っていましたけど、その「10」は、どうやって求めたんですか?
先生 そうそう、その解説が抜けていたね。7:3の比の合計として、7+3=10と求めたんだ。これが子分の場合は6+4=10ということだ。
生徒 そうだったんですね。この場合は金塊が10kgだから分けやすいし、すぐに何kgずつかわかりました。でも、10kgじゃないときは、どうなるんですか?
先生 そうだね。例えば、金塊が合計で35kgあって、親分が「5:2にしよう」と言うと、子分は「せめて3:2にしてほしい」と交渉したとしよう。この場合、親分は「全体を7(=5+2)と考えたとき、5と2の割合になるように分けよう」と言っているんだ。
生徒 そうすると、子分は「全体を5(=3+2)としたとき、3と2の割合になるように分けましょう」ってことですね。

先生 そう、そういうことだ。今回は金塊の取り分について、10kgのときより少し難易度を上げて計算で求めてみようか。まず、黒板の図をみてほしい。親分の場合、全体を7としたとき、取り分は5になる。つまり、
(7のうち5)だね。一方、子分の取り分は7のうち2だから
だ。ここで、7は比の合計だけど、実際には35kgの金塊があるよね。だから、親分は
kg、子分は
kgと計算できる。つまり、金塊が35kgあったとき、親分は25kg、子分は10kgの取り分にしたいと思っているんだよ。
生徒 う~ん、一気に複雑になりました。
先生 それじゃあ、理解を深める意味で、子分の考えを一緒にやってみようか。
生徒 はい。子分の場合、全体を5としたとき、親分の取り分は3だから、
(5のうち3)になります。そして、子分の取り分は5のうち2だから
です。金塊は35kgあるから、親分は
kg、子分は
kgとなって、35kgの金塊を親分が21kg、自分は14kgに分けようと思っている!
先生 うん、正解だ。比から、それぞれの取り分を「分数」で表して、実際に何kgになるか計算の流れはつかめたと思うけど、実はね、例えば、親分の取り分が何kgになるかわかったら、全体から親分の取り分を引けば子分の取り分は求められるんだ。
生徒 あっ、ホントだ。これだと計算がラクですね!
先生 さて、今回はここまで。比についての練習問題を取り組んで終わりにしようか。
生徒 はい、ありがとうございました!
練習問題
次の問いに答えなさい。
(1)長さ600cmのロープを12:3になるように切ります。それぞれ何cmになるか求めなさい。
(2)2000円を姉と弟で金額の比が5:3になるように分けます。それぞれの金額はいくらになるか求めなさい。
(3)公園で遊んでいる80人の子どもの、男の子と女の子の人数の比は9:7です。男の子と女の子は、それぞれ何人いますか。
(4)周りの長さが420mの長方形があります。縦と横の比が8:13になっているとき、縦の長さと横の長さは、それぞれ何mか求めなさい。
(5)Cさんは算数、国語のテストを受けました。算数、国語の合計点は144点で、算数と国語の点数の比は7:5でした。算数と国語の点数は、それぞれ何点か求めなさい。
答
(1)長いほうをA、短いほうをBとする。

A
B
(別解「Bの長さ」は600-Aの長さ=600-480=120)
答 480cm、120cm
(2)

姉
弟
(別解「弟の金額」は2000-姉の金額=2000-1250=750)
答 姉1250円、弟750円
(3)

男の子
女の子
(別解「女の子の人数」は80-男の子の人数=80-45=35)
答 男の子45人、女の子35人
(4)長方形の周りの長さは420mなので、縦と横、それぞれ1辺を足した長さは210mになる。縦と横の比は8:13から、以下のように求められる。

縦
横
(別解「横の長さ」は210-縦の長さ=210-80=130)
答 縦80m、横130m
(5)

算数
国語
(別解「国語の点数」は144-算数の点数=144-84=60
答 算数84点、国語60点
(講師/村山 慎一)
電気数学のすゝめ 記事一覧
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- 【第2回】電験取得のための分数の四則演算
- 【第3回】電験取得のための分数の四則演算 その2
- 【第4回】電験取得のための計算の基礎
- 【第5回】電験取得のための計算の基礎
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- 【第8回】電験取得のための計算の基礎
- 【第9回】電験取得のための計算の基礎
- 【第10回】電験受験に役立つ比の計算
- 【第11回】続・電験受験に役立つ比の計算
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