License
電験取得のための四則演算【電気数学のすゝめ1】
電験取得のための第一歩
2023.07.20
1限目 四則演算
先生 電験三種の計算問題には、必ず「電気数学の知識」と「計算力」が要求されます。一般的に数学と違って、これらは電気回路や電磁気の問題を解くときに必要な知識だけど、苦手意識を持つ受験者も多いフィールドでもあるんだ。だから、電験ビギナーでも「計算問題=得点源」となるように、電気数学を基礎から詳しく解説します。1限目は、すべての計算のベースとなる四則演算だ。まず、数の分類を以下で軽く触れておこう。まず、数の分類を以下で軽く触れておこう。
①自然数:1から始まり、1ずつ増えていく数。0が含まないことに注意しよう。
②整数:自然数に0と「負の数(マイナス)」を加えた数のことだ。
③有理数:整数に「分数」と「小数」を加えた数だ。
④無理数:有理数で表すことができない数で「円周率」や「√2」などが代表的かな。
⑤実数:有理数と無理数を合わせた数、というと難しく感じるけど、この世に存在する「すべての数」のことだよ。
生徒 あっ、無理数の部分だけど、円周率は3.1415…… だし、√2は1.4142…… と小数で表すことができるから有理数ではないんですか?
先生 円周率や√2といった数は、分子と分母が整数である分数で表すことができないよね。そういった場合は無理数なんだ。
生徒 確かに、円周率は無限に数が続いていくから分数にできません。
先生 あと、少し難しいけど、次の2つも無理数だ。
⑥虚数:二乗して負(マイナス)になる数で、実数には存在しない数。
⑦複素数:実数と虚数を組み合わせた数。
ただ、ここでは難しく考えないで「こういう体系になっている」というレベルでとらえておくといいよ。数といっても、いろいろな種類があるでしょう。
先生 数の種類がわかったところで、実際、その数を使って四則演算に取り組んでみよう。まずは「同符号のたし算」だ。この場合、最初に「数」をたして、その合計の前に「共通の符号」をつければ答えになるよ。
生徒 符号に変化はないんですね。
先生 うん、そうなんだ。次に「異符号のたし算」だけど、このときは符号に注意が必要。まず、ひき算をして、そのあとに数字が大きいほうの符号を答えの前につけるんだよ。
生徒 たし算だけど、ひき算をするんですね……。なんだか複雑。
先生 言葉で考えると難しいかな。さて、今度はひき算にいこう。一見、複雑そうだけど、実は、とてもシンプルなんだよ。キーポイントは「ひくほうの符号を逆にして、たし算をする」だ。
生徒 ホントだ! 符号を逆にしたあとは同符号か異符号のたし算になる。
先生 あとね、ここの黒板に書いた例の答えには「+」の符号をつけているけど、通常、これは省略するよね。
生徒 じゃあ、マイナスは?
先生 マイナスは省略しちゃダメ。ちゃんとつけないと! さあ、あとは練習あるのみ。問題を解いてみようか。
練習問題
次の計算をしなさい。
(1)(+8)+(+7) (2)(−15)+(−9) (3)(−14)+(+10)
(4)(+78)+(−8) (5)(+6)-(−2) (6)(−36)-(−9)
答
(1)(+8)+(+7)=15
(2)(−15)+(−9)=-24
(3)(−14)+(+10)=-4
(4)(+78)+(−8)=70
(5)(+6)-(−2)=(+6)+(+2)=8
(6)(−36)-(−9)=(−36)+(+9)=-27
先生 残りの四則演算はかけ算、わり算。これも法則を暗記すれば簡単だよ。かけ算もわり算も、同符号の場合は正の数(プラス)に、異符号の場合は負の数(マイナス)になるんだ。
生徒 混乱して逆にしないように注意しないといけませんね。
先生 これも練習問題で、しっかりパターンを身につけておこう。
練習問題
次の計算をしなさい。
(1)(−9)÷(+3) (2)(+28)÷(+14) (3)(−7)×(+8)
(4)(−15)×(−7) (5)(+65)÷(−5) (6)(+11)×(−11)
答
(1)(−9)÷(+3)=-3
(2)(+28)÷(+14)=2
(3)(−7)×(+8)=-56
(4)(−15)×(−7)=105
(5)(+65)÷(−5)=-13
(6)(+11)×(−11)=-121
先生 たし算、ひき算、かけ算、わり算はカンペキだ。さらにレベルアップしていこう。この4つが組み合わさった計算に取り組んでみようか。
生徒 何か法則があるとわかりやすいんですけど……。
先生 うん、それが上の黒板だ。まずは「たし算とひき算が入った計算」と「かけ算とわり算が入った計算」ね。これはシンプルに左から右へ順番に計算していこう。
生徒 これはわかりやすい!
先生 それでは、次に「たし算、ひき算、かけ算、わり算が入った計算」だけど、これは規則があって、かけ算とわり算を先に計算するんだ。
生徒 たし算とひき算は二の次なんですね。
先生 うん、そういうことだ。かけ算とわり算を優先的に計算して、あとは「たし算とひき算が入った計算」にすると、あとは……。
生徒 シンプルに左から右に計算! じゃあ「カッコ( )のある計算」も同じようにかけ算とわり算から?
先生 これが注意するポイントで、「カッコ( )のある計算」の場合、かけ算やわり算の前に、カッコのなかから計算するんだ。黒板の例のように、カッコが2つ以上あるときは、最も内側のカッコから先に計算するというルールがあるんだよ。
生徒 パターンを覚えてしまえば解答できそうです。
先生 最後に、練習問題に取り組んで終わりにしよう。
練習問題
次の計算をしなさい。
(1)7+6-(−8)+(−10) (2)8×3÷2×5
(3)[7×{9-(−6)}]÷3 (4)75÷3÷5×25
(5)78+12÷6×6-40 (6)(−97)+27-(−18)-(+8)
(7)20×7+75÷15-145 (8)7×[(−3)×{25-(−35)}]÷126
答
(1)7+6-(−8)+(−10)=13+8+(−10)=11
(2)8×3÷2×5=24÷2×5=12×5=60
(3)[7×{9-(−6)}]÷3={7×(9+6)÷3}=(7×15)÷3=105÷3=35
(4)75÷3÷5×25=25÷5×25=5×25=125
(5)78+12÷6×6-40=78+2×6-40=78+12-40=50
(6)(−97)+27-(−18)-(+8)=(−70)+18-(+8)=(−52)+(−8)=-60
(7)20×7+75÷15-145=140+75÷15-145=140+5-145=0
(8)7×[(−3)×{25-(−35)}]÷126=7×{(−3)×60}÷126=7×(−180)÷126=(−1260)÷126=-10
(講師/村山 慎一)