Management
施工体制台帳の作成に関連するルールを学ぶ【コンプライアンス入門 第10回】
現場で役立つ!
2024.10.23
第10回
作成図書2~施工体制台帳~
施工体制台帳の作成
建設業法には、工事施工に際して現場で作成しなければならない書類が規定されている。今回は、元請業者が作成しなければならない「施工体制台帳」の作成手順、関連書類について詳しく解説する。
施工体制台帳は元請、下請が一体になって作成する必要がある(図1)。元請は「施工体制台帳」「施工体系図」、再下請をする下請負人は「再下請負通知書」の作成が課せられる。
(1)元請(施工体制台帳作成工事であることの掲示、書面通知)
元請である特定建設業者が作成建設業者に該当することとなったときは、遅滞なく、一次下請負人に対して施工体制台帳の作成工事である旨の「書面通知」を行う。さらに、工事現場の確認しやすい場所に、その旨が記載された書面を「掲示」する。
元請は一次、二次の下請負人が作成した「再下請負通知書」をもとに「施工体制台帳」および「施工体系図」を整備する。
・掲示
工事関係者と公衆が確認しやすい場所に再下請負通知書の提出案内を掲示する。
・書面通知
元請業者の名称および再下請負通知が必要な旨と、再下請負通知書の提出先を通知する。
(2)一次下請負人(再下請負通知書の作成)
一次下請負人は元請に対して「再下請負通知書」(請負契約書の写しを含む)を提出するとともに、二次下請負人に施工体制台帳の作成工事である旨の書面通知を行う。
・書面通知
元請業者の名称および再下請負通知が必要な旨と、再下請負通知書の提出先を通知する。
(3)二次下請負人(再下請負通知書の作成)
二次下請負人は元請に対して「再下請負通知書」(請負契約書の写しを含む)を提出する(一次下請負人を経由して提出することも可能)。さらに、三次下請負人に対して施工体制台帳の作成工事である旨の書面通知を行う。
・書面通知
元請業者の名称および再下請負通知が必要な旨と、再下請負通知書の提出先を通知する。
ここで、現場へ掲示する書面と下請負人への通知書面の例を図2~3に示す。
施工体制台帳の記載内容と添付書類
施工体制台帳に記載する内容と添付書類を以下にまとめる。
①記載内容
・工事内容と建設業許可
・健康保険などの加入状況
・配置技術者の氏名と資格
・請負契約関係
②添付書類
・発注者との契約書の写し
・下請契約書の写し
・監理技術者(専門技術者)関係(監理技術者資格者証、監理技術者の健康保険証などの写し)
③施工体制台帳記載の下請負人の範囲
(1)施工体制台帳の作成範囲
元請業者Aが施工体制台帳を作成しなければならない範囲は一次下請業者B、C、D、二次下請業者E、F、G、三次下請業者Hである。運搬業者、資材業者、警備業者は建設業者ではないため含める必要はない(図4)。
(2)施工体制台帳の添付書類
元請業者Aが作成する添付書類を以下に示す(図5)。
・契約書の写し(元請から発注者、B、C、D社)
・技術者資格、雇用関係、専門技術者を証する書面
・一次下請業者Bの関係書類(E、F、H社との契約書、再下請負通知書)
・一次下請業者Dの関係書類(G社との契約書、再下請負通知書)
なお、C、F、G、H社は再下請負していないので書類は不要となる。
プロフィール
降籏 達生(ふるはた・たつお)
兵庫県出身。映画「黒部の太陽」で建設業に魅せられ、大学卒業後、大手ゼネコンに入社。社会インフラの工事に従事する。1995年には阪神・淡路大震災で故郷の崩壊に直面し、建設業界の変革を目指して独立。1998年にハタ コンサルタント株式会社を設立し、代表として建設業界の革新、技術者の育成、建設会社の業績アップに情熱を注いでいる。